2012年は「IT Transformation」など3分野へ注力、キーワードは「XaaS」~EMCジャパン


代表取締役社長の山野修氏
3つの注力分野

 「今後3年間は毎年2けたの成長を達成する。また、サービスの割合は現在40%。コンサルティングビジネスの強化などにより、これを売り上げの半分程度まで引き上げたい」--。EMCジャパン株式会社は26日、2012年の事業戦略に関する説明会を開催。その中で、代表取締役社長の山野修氏は、同社のビジネス目標をこう述べた。

 注力分野としては、1)顧客のIT基盤やビジネスの変革を支援する「IT Transformation」、2)セキュリティやBCPなどが含まれる「Trust」、3)大量データの分析を行う「ビッグデータ」の3つを挙げる。各分野とも、提案・構築体制やコンサルティングサービスの強化など、サービス部門の拡充を目標としてかかげており、「ITの変革とビジネスの変革を支援し、トラストアドバイザー(信頼できるアドバイザー)としての認知を得るべくやっていく」とした。

 具体的に個別分野の取り組みを見ると、1)のIT Transformationでは、「モノを提供するだけでなく、マネージドサービスとして従量課金するようなサービスも提供予定」とする。その代表となるのが、すでに米国では提供されている従量課金制のストレージサービス「Storage Management Service」。これは、顧客のデータセンターにストレージを設置し、顧客が従量課金で貸し出すサービスで、管理についても同社、あるいはパートナー企業がサービスとして請け負う。また、EMCジャパンの資産として貸し出されるため、顧客は資産を保有せずにすむメリットもあるという。

 また、山野社長がキーワードとして何度も挙げた言葉が、「XaaS(eXecution as a Service)」だ。一般にXaaSといえばIaaSやSaaS、PaaSなどの総称として用いられるケースが多いが、EMCジャパン社内では「ITを活用して、お客さまのリアルビジネスがクラウド的にネットサービスで提供されるようになる」ものと定義。「例えば、Automobile as a Serviceとなれば、レンタカーではなく車を一時間単位で借りるサービスになる。サービス事業者は、現在は個別のシステムで運営しているのが普通だが、XaaSではマルチテナント化し、コストのメリットが提供できる。一方、サービスを使う方にとっても迅速な利用が可能だし、同じくコスト面のメリットも受けられるだろう」と、その例と価値を説明した。


IT Transformationでの施策XaaSの実現

 2)のTrustでは、東日本大震災以来関心が高まっているDRサービスに加えて、「あらかじめ台風や水害などが想定される場合に、(被害を受けないエリアへ)データセンターを寄せて被害を最小化する」(山野社長)といった災害回避ソリューションの提供も予定。さらに、サイバー攻撃対策やGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)関連など、多様なソリューションを手がけていく。

 最後の3)では、人材育成に注力するという。特に、「一番不足しているのはデータサイエンティスト。お客さまのビジネスを分析するビジネスアナリストはいるが、科学的な見地からデータを分析する立場の人が不足している」とのことで、パートナーとの協業も含めて取り組む考え。

 さらには、「日本はビッグデータをどう分析するか、という前に、ビッグデータを集めることも重要。海外はかなり前からいろんな情報を集めていたが、日本ではまだデータを企業があまり持っておらず、それらを収納するストレージの販売強化が必要だ」(山野社長)とし、スケールアウトNASの「Isilon」、オブジェクトストレージの「Atoms」といった製品販売にもいっそう注力する考えを示した。


Trustでの施策ビッグデータの施策
関連情報
(石井 一志)
2012/1/27 06:00