日本HPとKMSIが提携、教育市場向けに授業支援ソフトなどを販売


 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は5日、授業支援ソフト「HP Classroom Manager」の販売について、京セラ丸善システムインテグレーション株式会社(以下、KMSI)と提携すると発表した。また同時に、1台のホストPCを複数ユーザーで共有する「HP MultiSeat Computing」のラインアップを拡充する。

 「HP Classroom Manager」は、授業を円滑に進めるための支援機能を提供するソフト。授業プランの立案から、授業で用いるコンテンツの配布、生徒が閲覧できるWebサイトやアクセスできるデバイスの制限といった管理機能までを、トータルで提供する。機能面もさることながら、コストが安いのも特徴とのことで、日本HP パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部 久嶋俊一本部長によれば、「こうした製品が従来なかったわけではないが、現在使われているソリューションと比べても安価に提供できる」のだという。


HP Classroom Managerの概要HP Classroom Managerの画面イメージ

 一方、ラインアップが拡充される「HP MultiSeat Computing」は、1台のホストPCを多数の端末(アクセスデバイス)で共同利用するためのソリューション。従来提供されていた製品はUSB接続によって端末をつないでいたため、ケーブル長が5mに制限されるといった制限がかかっていたが、新製品の「HP MultiSeat t200 Zero Client(以下、t200)」では、Ethernetケーブルの利用が可能になり、より柔軟な利用が可能になった。

 接続可能なアクセスデバイスは最大14台で、ホストPCを含めて最大15ユーザーで共有可能。また、従来モデルでは2ポートだったUSBポートが4ポートへ拡大され、付属のUSBキーボード/マウスを使用しても、USBポートを別途利用できるとのこと。

 久嶋俊一本部長は、「HP MultiSeat Computing」のメリットを、「端的にいえばPCを安くするためのソリューションで、コストはPCと比べて半分にできる」と紹介。教育分野に対するICT予算が限られる中で効果的に利用できるほか、「導入時の作業量は1/5になり、消費電力も80%削減される」との効果をアピールした。

 価格は、t200の一般企業向けが1万6800円、学校向けが1万4700円。また、ホストPCにアクセスするライセンスを別途購入する企業向けの製品も用意されており、こちらは8925円となる。いずれも販売開始は1月中旬。


t200の概要

 なお日本HPがこうした製品を提供する背景は、標準的なハードウェアの提供にとどまらず、「お客さまの業務や業種に特化したもの、例えばシンクライアントや『HP MultiSeat Computing』など、ベースとなるインフラ製品をどんどん増やす動きを始めているため」(日本HP 取締役 副社長執行役員 パーソナル事業統括の岡隆史氏)と説明。「8月以降、HPのPC事業部内部では面白い製品を作ろうとする動きを進めており、(今回の提携は)市場で実績のあるKMSIと組んで、新しく教育分野でもがんばっていこうという意思表明だ」とも述べた。


日本HP パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部 久嶋俊一本部長日本HP 取締役 副社長執行役員 パーソナル事業統括の岡隆史氏
KMSI 代表取締役社長の鈴木幹夫氏

 一方、「HP Classroom Manager」の代理店となるKMSIは、教育関連のICT予算が限られている中で、同製品や「HP MultiSeat Computing」によるコスト削減効果などを訴えていく考えで、「HP Classroom Manager」単体では、KMSIによる想定価格で5000円/ライセンスと、一般的な授業支援ソフトと比べて1/8程度で提供可能。

 全体的な価格でも、一般的な授業支援ソフト+PCと、「HP Classroom Manager」+「HP MultiSeat Computing」の場合を比べると、PC42台の1PC教室あたりで前者が760万円(参考価格)になるのに対し、後者は281万円(同)となり、コストを大幅に抑えられるとした。

 「『HP Classroom Manager』については、SIerなどの当社パートナーを通じて販売するが、パートナーに向けては営業支援だけでなくSE/CEによる技術支援も行う。これを用いると、既存のICT投資を圧縮することで、教育機関は新しい投資が行えるようになる」(KMSI 代表取締役社長の鈴木幹夫氏)。

 なおKMSIでは、今後3年間で3億円の売り上げを見込んでいる。


既存ソリューションとHP Classroom Manager+HP MultiSeat Computingのコスト比較HP Classroom Managerなどによって既存のICT投資を圧縮し、新しい投資に振り向けられるようにするという
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