富士通、約2割の電力削減を実現するネットワークの自動設計技術を開発


ネットワーク自動設計技術の概要

 富士通株式会社と株式会社富士通研究所は10日、ネットワーク全体の消費電力を約2割削減できる、ネットワークの自動設計技術を開発したと発表した。

 従来のネットワークでは、ピーク時のトラフィックに対応できることを最優先に設計され、回線増強やネットワーク機器の配置といった構成設計は、人手によって行われてきた。こうした場合に、ネットワーク機器や回線の接続の仕方によっては、消費電力が大きくなってしまうケースが見られるが、消費電力を最小にするという以外にも、拠点間の通信速度など、数多くの設計条件を考慮しなければならないことから、人手によるネットワーク設計ではすべてを把握することは難しく、消費電力の削減が困難になっていた。

 しかし今回、通信速度やネットワーク構成などの必要要件をすべて満たした上で、ネットワークの消費電力を従来より約2割削減できる、自動設計技術を両社が開発した。この技術では、データセンターなどの大規模なEthernet網を対象に、ネットワーク構成、拠点間の通信速度、使用する機器などの関係を表した膨大な設計パラメーターを、線形計画問題として数式化。それらを解くことで、ネットワークの消費電力量や機器設置コストを最小化できるようにしたという。

 この技術を用いると、人手では設計することが不可能な、多くの設計条件を考慮しながらも、ネットワーク条件を打ち込むだけで、最適なネットワーク機器の選択など、自動設計が可能になるとのことで、消費電力削減を目的とした設計テストの結果、最大で約2割、消費電力を削減できたとのこと。

 両社では今後、この技術をEthernet以外のネットワークへ適用できるようにするための開発を進め、実用化に向けての研究を推進するとしている。

 なおこの技術の詳細は、9月13日から北海道大学で開催される「電子情報通信学会ソサエティ大会」にて発表されるとのことだ。

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(石井 一志)
2011/8/10 14:25