国内PCシェア25%のNEC レノボ・ジャパン・グループが発足


合弁会社会長に就任したロードリック・ラピン氏(左)と社長に就任した高須英世氏(右)
NEC レノボ・ジャパングループが目指す姿

 日本電気株式会社と中国Lenovoは4日、主に日本国内でのPCビジネスを担当する、NEC レノボ・ジャパン・グループを発足させたと発表した。両社は1月21日に、PC事業における戦略的な提携を発表していたが、これに基づき、持ち株会社となるオランダLenovo NEC Holdings B.V.を7月1日付けで立ち上げたもの。またその100%子会社として、NECパーソナルプロダクツのPC事業を分割したNECパーソナルコンピュータ株式会社と、レノボ・ジャパン株式会社(以下、レノボ)を配し、実際の事業を担当させる。

 Lenovo NEC Holdings B.V.の出資比率はLenovoが51%、NECが49%で、IDC Japanの調査によれば、国内のPC市場で約25%のシェアを持つという。社長には、レノボ 代表取締役社長のロードリック・ラピン氏が、社長にはNECパーソナルコンピュータ 代表取締役社長の高須英世氏がそれぞれ就任したが、この人事は、提携発表時の通りとなる。

 合弁会社の会長となったラピン氏は、「NECは日本市場への知識では右に出るものがおらず、日本市場に特化した製品を開発し、1位を確保してきた。一方Lenovoはグローバルでのサプライチェーンを持ち、スケールメリットを生かせる」と、両社の強みを説明。これらを合わせることで、「より高い技術革新をお客さまに提供できる」とした。

 具体的な提携効果としては、資材調達など間接部門での効果を強調。「コスト削減を図り、そこで浮いたお金を使って、日本のIT業界、クラウドに対応できる製品や、日本に特化したサービスを提供できる」と話す。レノボは、グローバルで4位のPCベンダーであり、国内でもそのサプライチェーンを活用することにより、調達コストの引き下げが見込めるのだ。

 しかしその一方で、「ブランドや販売体制には一切変化はない」と述べ、今回の提携によるマイナスの影響がないことを強調。特に、存廃を心配する声の高かったNECパーソナルプロダクツの米沢事業所については、「投資を継続していくことをお約束する」とした。

 合弁会社の社長となる高須氏も、お互いの強みや合弁会社での狙いを同様に説明。その上で調達については、「共通部品ではスケールメリットを最大化するが、日本での付加価値提供のための部品は、従来通り(NECパーソナルプロダクツ)の調達網を利用する」とし、100%レノボに依存することはないと説明している。


法人・個人向けPCともに現行とブランドは変わらない開発の連携

 なおNECパーソナルコンピュータでは、顧客満足度向上のため、NECのサポートセンター「121コンタクトセンター」で提供されているサポートの強化を図る。具体的には、2年目以降は有償だった「使い方相談」サービスを2012年1月から無償化するとのこと。また、レノボが日本市場で販売しているコンシューマ向けPCの電話サポート受付窓口を、10月からNECパーソナルコンピュータが受託することになった。

 「今回の提携によって、Lenovoは世界三大市場のうち2つで1位になった。Lenovo単体でもグローバル3位を狙っていくが、NECとの提携で、それが近くなったと考えている。2社が一緒になることで力強いメーカーになったものの、これで終わりではなく、将来的には世界展開も図りたい。さらなる協業の可能性もあるだろう」(ラピン氏)。

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