クリックテック、モバイル端末対応の「QlikView on Mobile」

HTML5ベースでブラウザから利用


クリックテック 代表取締役社長 垣田正昭氏
QlikView on Mobileの概要

 クリックテック・ジャパン株式会社(クリックテック)は14日、同社が提供するBI環境「QlikView」をiPadやAndroid端末などのモバイルデバイスからでも閲覧/分析可能にする「QlikView on Mobile」を発表した。ネイティブアプリケーションではなくHTML5ベースでWebブラウザから利用できるようにしており、既存のQlikViewユーザーは追加ライセンスを購入することなく利用できる。クリックテック 代表取締役社長 垣田正昭氏は「QlikViewの競合優位点は連想技術とインメモリ。制限のない探索で、デバイスに依存せず、誰もがどこからでも高速な分析を行うことが可能。今回のモバイル対応でその範囲がさらに広がった」と自信を見せる。

 QlikView on Mobileは、端末ごとに最適化された専用のアプリケーションではなく、QlikViewのサーバーアーキテクチャを活用し、HTML5をベースにWebブラウザから利用可能にしたもの。デバイスごとの設定は一再必要ないため、さまざまなデバイスが混在する環境でも、BIアプリケーションの一元的な管理が行える点が特徴だ。また、タブレット端末やスマートフォン特有のタッチインターフェイスが利用でき、“直観的なBI”が実現されている。

 また、Ajaxを活用している技術であるため、データの痕跡がクライアントに残らないという点も特徴のひとつ。垣田社長は「デバイスの紛失は十分に考えられる事態。仮に紛失したとしても、データがデバイスに残らなければ情報漏えいの可能性はずっと低くなる」とその安全性を強調する。


QlikView on Mobileが引き継いでいるQlikViewの特徴

 QlikView on MobileのベースとなるBI環境「QlikView」は“制限のない探索”を掲げており、この特徴はそのままQlikView on Mobileにも引き継がれている。“制限のない探索”とは

・探索するデータとルートを制限しない
・探索する場所を制限しない
・探索する端末(デバイス)を制限しない
・探索する用途を制限しない

を意味しており、「事前の要件定義が必要ないBI」(垣田社長)であることが他社にない強みだとしている。垣田社長は「事前に要求定義ができるのであれば、ツールなんか必要ない。設定すべき目的を定められないからこそユーザーは解を求めているのに、従来のBIは最初からユーザーに解を要求している。ユーザーは明細をロードするだけでOK。BIアプリ開発に手戻りはほとんど発生せず、発生するとしてもUIの変更だけで十分」とそのメリットを語る。

 ユーザーはどんなデータソース(明細)にもアクセスすることが可能なので、自分が必要とするデータを自分の視点で分析し、視覚化することが可能になる。これがモバイルデバイスでも何ら設定する必要なく実現できるようになったことが今回の発表の趣旨だ。


事前定義が必要ない点が強み明細データを瞬時に計算できる高速性を持つQlikView on Mobileの画面イメージ

 クリックテックは1993年にスウェーデンで起業したQlikTechの日本法人で、2010年1月に設立された。QlikTech社はワールドワイドで順調に業績を伸ばしているが、特にここ数年は年平均約50%という高い伸び率で売り上げを増やしている。

 この躍進の理由について垣田社長は「ハードウェアの進化が大きな要因」と語る。同社は設立当初からインメモリBIを展開してきたが、90年代はまだメモリの価格も高く、インメモリBIに見合った性能をもつ製品が少なかった。

 「2003年ごろからメモリの急激な価格低下が起こり、さらに64ビットCPUの登場、64ビットOSの普及などで、メモリのアドレス空間が無限近く広がった。QlikViewはCPUやコアの数に比例して速度が出る。それは並列化が最適化されている証拠であり、ハードウェアの進化に順応しているということだ」とマルチコアCPUとの親和性の高さがQlikViewの普及につながっているとしている。

 QlikViewはその用途を限定しない特徴から、イスラエル警察での犯罪プロファイリングやオンラインショップの商品検索など、従来のBIの枠組みにはとらわれない“Business Discovery(情報の探索)”を標榜しており、今回発表されたモバイルでの活用も視野に入れながら、さらに新たな分野での普及を目指していきたいとしている。


連想技術とインメモリ明細データを瞬時に計算できる高速性を持つ

 なお、QlikView on Mobileは、追加費用なく利用可能。QlikViewのライセンス(サーバーライセンスおよびユーザーアクセス権)の参考価格は、最小規模ユーザー(5ユーザー)の場合で250万円から、大規模ユーザー(1000ユーザー)の場合で2600万円から、となっている。

 端末は、同日時点でiPad/iPad2/iPhoneに対応し、7月末以降、Android端末を順次サポートしていく予定だ。

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