レッドハットが2012年度の戦略を説明、「震災復興にオープンソースで貢献」


レッドハット株式会社 代表取締役社長 廣川裕司氏

 レッドハット株式会社は21日、新年度である2012年度(FY12)の事業方針に関する記者説明会を開催した。代表取締役社長の廣川裕司氏は席上で、前年度のワールドワイドでの売り上げ成長率が前年度比22%増だったことと、日本ではそれを上回る数字を上げたことを説明。さらに、2011年に入って、富士通によるクラウドでの採用、NTTドコモによるオペレーションサポートシステム(OSS)での採用、NTTコミュニケーションズによるクラウドでの採用拡大と、3つの大きな契約があったことを挙げ、好調をアピールした。

 新年度の事業方針としては、次の4つの柱が掲げられた。

  1. 震災復興にオープンソースで貢献
  2. CORE BUSINESS:Linuxビジネスの安定成長
  3. BEYOND LINUX:JBossとクラウド事業を拡大
  4. SOLUTION SELLING:営業リソースの増強と質の向上

 1つ目の「震災復興にオープンソースで貢献」としては、義援金などの社内の取り組みのほか、同社の技術を使ったクラウドサービス各社が災害復旧・復興のために無償でサーバー環境を提供したことを紹介。また、「復興支援の次のステップとして求められているのは、雇用や町づくり」として、同社の技術によるTCO削減や技術革新などの業界への貢献を掲げた。また、ディザスターリカバリー(DR)のソリューションとして、同社の仮想化技術やミドルウェア技術によるアプリケーションのポータビリティの優位性を主張した。

 2つ目の「CORE BUSINESS」であるLinuxビジネスについては、すでに大きな成長を見せているが「まだ伸ばしていく」と攻めの姿勢をあらわにした。具体的な取り組みとしては、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)のサブスクリプション契約の更新率の向上、高付加価値サポートの拡大、新しい市場の開拓が挙げられた。

 新しい市場としてはまず、Windowsの市場に切り込むためにRHELのリセラーやビジネスパートナーを倍増することが語られた。また、政府機関・地方自治体、流通・サービス、製造の各部門への業種カバレッジを拡大。さらに、「RHELから無償のCentOSに移ったサービスプロバイダが、CentOSのセキュリティパッチの遅れなどの問題により、RHELに戻ってきている」(執行役員 パートナー営業本部長 纐纈昌嗣氏)として、サービスプロバイダ市場からの売り上げを倍増させると目標が語られた。

 Linuxビジネスに続く「BEYOND LINUX」であるJBoss事業とクラウド事業についても売り上げ倍増を掲げた。具体的な施策としては、SOA・ミドルウェア事業においては、専属営業を2倍に増員し、戦略パートナーの採用を促進、ソリューションの提供を強化することが語られた。ソリューションの強化の一例としては、仮想化データ管理(EDS: Enterprise Data Service)を挙げ、「物理的な位置や、データの種類(RDBMS)を問わない、クラウドならではのもの。これからのDaaS(Data as a Service)マーケットのさきがけとなる」(廣川氏)と説明した。

 また、4つ目の柱である営業リソースの増強としては、営業・プリセールスエンジニアを50%にあたる20~30人増やすこと、レッドハットエンタープライズユーザー会(REUG)の参加企業を65社から100社以上に増やすことが掲げられた。

新年度の4つの事業方針「震災復興にオープンソースで貢献」「CORE BUSINESS」「BEYOND LINUX」「SOLUTION SELLING」
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(高橋 正和)
2011/4/22 06:00