日本HP、Hadoop関連ビジネスを強化~コンサルサービスや高密度サーバーなどを提供
日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は4日、オープンソースソフト(OSS)ビジネスの一環として、「Hadoop」関連の製品・サービスを強化すると発表した。スケールアウト型サーバーシステム「HP ProLiant SL6500シリーズ」(以下、SL6500)のラインアップを強化するほか、Hadoopに対応したサービスメニューを拡充する。
■Hadoop活用を支援するスケールアウト型サーバーを提供
日本HP エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部の橘一徳本部長は、これからのITについて、「クラウド時代は情報爆発の時代といわれるように、IT機器が扱うデータは膨大に増え、また非定型データの割合が増えるなど、質がどんどん変化している」と指摘。
そしてこうした中で、データ分析時間の増大、多様なデータ構造に対する柔軟性/俊敏性の欠如といった課題に対応するものとして、オープンソースの分散処理システムとして注目されつつあるHadoopが1つの解であると述べ、その重要性が注目されてきたと話す。
このHadoopは、スケールアウト型のシステムであるため、通常はx86サーバーの中でも、性能ではなく省電力性・省スペース性を重視して機種を選び、それらを何台も並べて使用することが多い。しかしこの点について、エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 Service Provider&HPCビジネス市場開発の中井大士氏は、「CPUやメモリ容量も含めた、全体のバランスを考慮する必要がある」と指摘する。
中井氏によれば、Hadoop向けサーバーを提供しているベンダーの中には、省電力性を考慮してデスクトップ向けのCPUを採用しているケースもあるというが、「データを格納するためにディスクをたくさん積もうとしても、CPU性能に限界があればそうはいかず、大容量データを保存するとなると、大量のサーバーが必要になってしまう」(中井氏)。また、一般的な1Uサーバーを利用する場合は、CPUなどの性能は十分にあっても、省スペースであるがゆえにディスク搭載量に問題があり、やはり大量のサーバーが必要になってしまうという。
発売される3つのサーバーノード。元は、特定顧客向けにカスタマイズされたものだという |
そこで日本HPでは、全体のバランスをきちんと考慮し、大規模スケールアウト向け高密度サーバーシステムのラインアップに、Hadoop向けのサーバーノードを用意することにした。それが2ソケットサーバーノード「SL335s G7」「SL160s G6」「SL165s G7」の各製品で、いずれも搭載ディスク密度と演算性能のバランスをきちんと考慮して提供される。
このうちSL160s G6、SL165s G7の両製品は、フルワイドサイズ(1U相当)の筐体に、3.5型ディスク×6を搭載でき、最大12TBの大容量を実現。「こうした性能をHadoop専用の特別なサーバーではなく、業界標準技術を用いたSL6500で提供するので、コスト面でも安価に提供する。仮想化のプラットフォームやデータベースなど、ほかの用途でも利用可能だ」と、中井氏はその価値を説明した。価格は、インテルCPUモデルのSL160s G6が19万1100円から、AMD CPUモデルのSL165s G7が18万4800円から。
一方のSL335s G7は、ハーフワイドサイズ(0.5U相当)の筐体に3.5型×4、あるいは2.5型×8のディスクを搭載可能な高密度型。AMDのサーバー用省電力CPU「Opteron 4100シリーズ」を採用するほか、80Plus Platinum電源やSL6500のシャーシ型アーキテクチャにより、一般の1Uサーバーと比べて、非常に高い電力効率を達成している。価格は14万8050円から。
SL335s G7(左)とSL6500のシャーシ(右) | SL335s G7は高い電力効率を達成 |
■Hadoop活用をトータルで支援するサービスも
また橘本部長は、顧客の抱える懸念として、「設計・構築には特別な技術力が必要」「オープンソースのため十分な支援が受けられない」といったものがあるとも指摘。こうした不安を払しょくする目的で、日本HPが提供しているOSS向けサポートサービス「HP Open Service Standard」のメニューに、「Hadoopコンサルティングサービス」を拡充した。
このサービスでは、「適用領域の選定が困難」「ノウハウがなく設計や開発ができない」「OSSに対する保守がない」といったHadoop導入時の課題を解決するため、検討段階から保守・運用支援まで、全工程をカバーするサポート体系を用意した。
加えて、Hadoopのみならず、関連したOSS製品を包括的に支援できる点も特徴で、これによって、Hadoop導入に不安を持っている顧客でも、安心してHadoop導入に踏み切れるほか、日本HPからの技術移管が受けられるので、すべて任せきりではなく、顧客自身による運用や追加開発を可能にするとのこと。
さらに、パートナー企業やSIerなどからも、自社ソリューションとHadoopとの連携を行いたいといった要望があることから、エンドユーザーだけでなく、そうした企業に対しても支援を行うとしており、幅広い層を対象にサービスを展開していく考えを示した。
「こうした施策によって、今までは限られた企業、ベンダーのものでしかなかったHadoopを身近なものにしていきたい」(中井氏)。
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