アシスト、仏Talend社とオープンソースデータ統合ソフトのリセラー契約を締結
株式会社アシストと仏Talend SA(以下Talend社)は2月24日、Talend社が提供するオープンソースのデータ統合ソリューション「Talend(タレンド)」とリセラー契約を締結したと発表した。アシストは同日より「Talend」の販売および技術サポートを開始。アシストのサイトでGPL版「Talend Open Studio」日本語対応版の無償ダウンロード提供も開始した。
■データ統合ソフトを核としたTalend製品群~GPLライセンスの無償版を公開、有償版につなげる
世界初のリセラー認定の盾を贈る仏Talend社副社長のヴィンセント・ピノ―(Vicent Pineau)氏(左)とアシストの代表取締役ビル・トッテン(Bill Totten)氏 |
Talend社のオープンソース・ソリューション「Talend」は、「データ統合」「データ品質」「マスタ・データ管理」を1つのプラットフォーム上に統合した製品群となる。いずれもGPLの無償版と有償版のサブスクリプションを用意し、GPL版を無償配布して有償版の契約につなげる販売戦略をとっている。
Talend社の製品群は、データ統合ソフトの無償版「Talend Open Studio」および有償版「Talend Integration Suite」、データクオリティソフトの無償版「Talend Open Profiler」および有償版「Talend Data Quality」、マスターデータ管理ソフトの無償版「Talend Open MDM」および有償版「Talend Enterprise MDM」の6製品からなる。
このうち、今回アシストが取り扱い開始するのは、コア製品となるデータ統合ソフトウェアの無償版「Talend Open Studio」とその有償版「Talend Integration Suite」となる。データクオリティおよびマスターデータ管理ソフトについては、日本語対応を待って、アシストでも取り扱いを開始する予定だ。
データ統合ソフト有償版「Talend Integration Suite」は、ユーザーごとの1年間のサブスクリプションライセンスとして提供。ユーザー数に応じてライセンス購入が必要だが、CPUごとや接続数制限などはなく、導入時にコスト計算が容易だという。ライセンスは、Team Edition、Professional Edition、Enterprise Edition、MPxの4つに分かれており、価格はTeam Editionで78万円から。稼働環境はWindows、Unix、Linux、Mac OS Xなどの32/64bit OS、JDK 1.5以上の環境。
アシストは2011年に100社、1億5000万の売り上げを目指す。今年買った顧客が7割が継続すると想定して2年目は220社2億8000万円、3年目は360社4億3000万円の売り上げを目標としている。
Talend製品の構成 | Talend製品の販売戦略 |
■アシスト「今後OSSも強化、透明性の高いソフトを求めるニーズに応える」
アシストの代表取締役ビル・トッテン氏 |
アシストの代表取締役ビル・トッテン氏は発表会で、「これまでアシストでは有償パッケージ製品を扱ってきたが、最近では有償製品のライバルが無償ソフトとなってきている。1台でも1000台でも無料、保守料もない。有償の製品が無償の製品と戦うのは難しい」として、オープンソースソフトウェア(以後OSS)が業務分野でも競合製品として台頭してきた状況を説明。
また、有料パッケージソフトはバージョンアップや旧バージョンのサポート打ち切りをベンダー側が決定し、顧客企業は旧バージョンを使い続けたいと思ってもサポートが打ち切られるなどで乗り換えざるを得ないなど、顧客に決定権がない面を指摘。
さらに、「企業は顧客情報を守る義務がある。このため、透明性の高いソフトウェアやシステムが求められている」とした。例として、トッテン氏は携帯電話のGPS機能は必ずオフにしているが、「しかし端末設定でオフにしたからといって、位置情報が取得されていないとは言い切れない」とコメント。ソースコードを見て確認できるOSSは、透明性の高いソフトを求める需要に合致するとした。
トッテン氏はこうした背景から、アシストでは今後も有料パッケージ製品を引き続き販売していくが、合わせてOSS製品もラインナップを拡充していくと方針を述べた。
なお、Talend社の有償版ソフトは、標準ではソースコードを提供していないが、顧客から求められればソースコードの開示も行うとしている。また、株式会社ディーバとOEMパートナーシップを結んでおり、メインフレームとの接続など、日本ローカルでニーズの高い部分に対応していく予定だという。
アシストのビジョン | Talend社製品の販売戦略 |
■Talend社「ノーサプライズで顧客に提供、中身も確認できる」
仏Talend社副社長のヴィンセント・ピノ―氏 |
発表会には仏Talend社副社長のヴィンセント・ピノ―氏も出席。「Talend社は2005年に設立、実質的に事業を開始したのは2007年になるが、現在までにワールドワイドで1200万ダウンロードがあり、55万以上のユニークユーザーを擁する。2000社の有償版顧客企業があり、CitibankやeBay、Bank of America、General Motersなども利用している」とTalend社の現状を説明。最大の競合となるInformatica社は4500のカスタマーを持つが、ビジネスを始めて25年経っているのに比べ、急成長を遂げており、カスタマー数は毎年対前年で100%増加と倍増ペースを続けているとした。
「Talend社としての企業原理はノーサプライズで顧客に提供することで、中身(ソースコード)もきちんと確認できる。顧客が導入してみて、“こんなはずではなかった”というサプライズがないようにやっていきたい」とコメントした。
アシストとの提携に関しては、「マーケティングも重要な要素で、昨年設立した日本の現地法人タレンド株式会社がこれまで進めてきたが、技術サポート力もあり経験豊富なアシストからリセラー契約について関心を示されたことはありがたいと思った」として、アシストからの提携話を歓迎し、世界で初めてTalend社としてリセラー契約を結ぶことになった経緯を述べた。
なお、アシストではユーザー向けの新製品発表会を、アシスト市ヶ谷セミナールームで3月22日に開催。Talend製品の概要、技術情報などのセミナーを行い、体験デモコーナーも設置する。
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