デル、数PBまで拡張可能なオブジェクトストレージ「Dell DX6000シリーズ」


 デル株式会社は15日、オブジェクトストレージプラットフォーム「Dell DX6000シリーズ」を発表した。国内では、10月中旬より提供を開始している。

 DX6000シリーズは、DXクラスタサービスノード「DX6000」、およびDXストレージノード「Dell DX6012S」「Dell DX6004S」より構成される、オブジェクトストレージのプラットフォーム。ストレージノードの追加によって、数TBから数PBまでの拡張に対応し、さまざまなアプリケーションから共有のオブジェクトストレージプールを使用することができる。

 ハードウェアは、標準のx86サーバーにOEMのソフトを合わせて構成され、ストレージノードは1UサイズのDX6004S、2UサイズのDX6012Sから、必要に応じて選択できる。格納できるHDDは、それぞれ4台、12台。

Dell DX6000シリーズDX6000シリーズの特徴

 

オブジェクトストレージのメリットを生かしつつ、独自のメリットも

グローバルSMB本部 エンタープライズテクノロジスト 桂島航氏

 一般に、利用頻度の高いデータを扱うプライマリストレージの領域では、スループット性能や可用性、データの一貫性(コンシステンシー)などが求められるが、利用頻度の少ないデータを扱うアーカイブの領域では、スケーラビリティ、管理性、コンプライアンス、コストといった、また違った要件が求められる。

 DX6000シリーズが属するオブジェクトストレージは、後者の要件を満たすストレージで、グローバルSMB本部 エンタープライズテクノロジスト 桂島航氏によれば、大規模な非構造化データの保管に最適なものとして、注目が集まっているという。

 オブジェクトストレージの特徴としては、まず、ファイルシステムのような階層構造ではなく、フラットなネームスペースを採用していることが挙げられる。「オブジェクトに直接IDを打ち、フラットな管理を実現することにより、処理を軽減しているほか、場所に依存しないIDを利用するため、移動が容易になっている」(桂島氏)のだ。

 さらに「コンプライアンスを念頭に作られてきた経緯があるので、細やかなデータ管理が可能な場合が多い」(桂島氏)のも、オブジェクトストレージで特筆すべき点だろう。信頼性レベル(データ保護レベル)を、ボリューム単位ではなくオブジェクト単位で設定できたり、特定の日時までは削除できないが、それを過ぎると削除可能になる、といったデータ保管制御を詳細に行えたりするのがその一例。さらに、アプリケーションに応じたカスタムメタデータを、データに直接設定できるとのことで、検索や分類の利便性を向上させられる点も大きいという。

フラットなネームスペースを採用する細やかなデータ管理を実現

 また、オブジェクトストレージでは、RAIDではなく、ノード単位で冗長性を確保するRAINアーキテクチャを採用する例が多く、DX6000シリーズも同じアーキテクチャを採用している。ただし、容量不足などの理由でノードを追加する際、「立ち上げて接続するだけでネットワークからOSをブートする仕組みのため、OSのバージョンやパッチ適用レベルを合わせる必要がない」(桂島氏)点が、DX6000シリーズならではのメリット。LUN設定などが不要のプラグ&プレイを実現し、管理性の面でも優れているとした。

 加えて、一般的なHTTPのプロトコルによってデータへアクセスするのもDX6000シリーズならではのメリットで、API SDK統合ツールキットが提供されており、Web 2.0アプリケーションなどとのシームレスな統合を可能にしている。桂島氏は、「他社製品では独自のAPIによるアクセスになるが、当社ではオープンなHTTPを利用している」と述べ、オープンという点を強調した。


RAINアーキテクチャで管理を容易にHTTPをインターフェイスに採用している
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(石井 一志)
2010/12/16 06:00