Red Hat Enterprise Linux 6の国内提供が開始~「10年後にも色あせないOS」
Red Hat Enterprise Linux 6 |
レッドハット株式会社は11月16日、商用Linuxディストリビューションの最新版「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)6」を、日本国内で同日から提供開始すると発表した。10日に米国で発表したのを受けてのもの。前バージョンのRHEL5から、3年半ぶりの新バージョンとなる。
サブスクリプションモデルの販売で、価格は、CPUソケットペア数、仮想化ゲスト数(従来の仮想マシン向けライセンスを統合、KVMのホストは除く)、サービスレベル(StandardとPremium)によって決まる。RHELinux Serverの最小構成では、1ゲスト・Standard・1ソケットペア・1年で9万6800円(税別)。
また、1ソケットペア・1年で、1RHELゲスト・Premiumが16万3000円(税別)、4RHELゲスト・Standardが15万5900円(同)、4RHELゲスト・Premiumが25万3400円(同)、無制限RHELゲスト・Standardが25万9900円(同)、無制限RHELゲスト・Premiumが42万2400円(同)となる。
製品バリエーションとしては、従来通り、RHEL Serverのほか、RHEL Desktop/Workstationを用意。x86向け製品以外にも、HPC向け、IBMのメインフレーム向け、Powerアーキテクチャ向けを提供する。
また、アドオンとして、ファイルシステム(XFS、GFS)、Extended Update Support、High Availability(クラスタリング)、Smart Management(RHNモジュール)、Load Balancer、High Performance Network(RoCE)の7つのアドオンを提供する。これらは、上位版の機能を独立したものなどからなる。
RHEL6ではLinuxカーネル2.6.32を採用。それ以降のバージョンのカーネルから機能をバックポートするなど、3900もの拡張を行っている。採用ソフトウェアもそれぞれバージョンアップするほか、パッケージ数も85%増加している。
RHEL6の主な特長としては、スケーラビリティの大幅な向上、信頼性機能の向上、仮想化機能の向上、システム管理機能の向上が上げられている。
スケーラビリティとしては、最大4096CPU(理論値)と64TBのメモリ(理論値)、100TBのファイルシステム(XFS、GFS)に対応。SMPのスケーラビリティやNUMA対応を強化している。また、HPCやトレーディングシステムで使われているRoCE技術(InfiniBand)によって高性能ネットワークにも対応する。なお、SGIの2048CPUコアのマシンAltrix UV 1000も、現在、RHEL6の検証中という。
仮想化ではKVMを全面的に採用。最大256CPUに対応するほか、オーバーヘッドの最小化やI/O性能の向上、KSM(Kernel Same-page Merging)機能による集約度向上、svirt技術によるセキュリティ機能追加などを図っている。また、Linuxのプロセスをグループごとに管理しリソース割り当てを制御するcgroups技術により、仮想マシンの使うリソースを個別に優先度をつけることもできる。なお、RHEL6ではXenは搭載しない。
信頼性の向上としては、ハードウェアのホットプラグや、エラーをおこしたメモリを使わないようにするメモリポイゾニングなどを採用。また、エラーレポートを自動的にRed Hat社に送信する機能も追加されている。
また、サーバーのアイドル時の消費電力を図るグリーンIT対応などもなされている。
RHEL6にかかった工数など | RHEL6の開発テーマ |
CPUのスケーラビリティ | メモリのスケーラビリティ |
ファイルシステムのスケーラビリティ | アイドル状態での消費電力の削減 |
仮想化の機能向上 | 仮想化構成でのRHEL5とRHEL6の価格比較 |
発表の席で、レッドハット株式会社 代表取締役社長の廣川裕司氏は、「一言でいうと、“マイクロソフトよりも信頼性があり、オラクルよりオープン、VMwareより競争力があるOS”」と表現。「UNIXやメインフレームはもはやニッチ」「VMwareをしのいだ」「Windows Serverに対する真っ向からの選択肢」と力強く語った。
また、同社マーケティング本部 部長の中井雅也氏は、「RHEL6は10年後にも色あせないOS」と自信のほどを見せた。
レッドハット株式会社 代表取締役社長 廣川裕司氏 | レッドハット株式会社 マーケティング本部 部長 中井雅也氏 |