「オープン・標準技術でVblock連合に対抗」~デルのネットワーク戦略


デル 公共ソリューション本部 アドバンスドシステムズグループ ネットワーク・スペシャリストの草薙伸氏
デルでは、データセンターの転送路はEthernetにすべて集約されていくと考えているという

 「デルでは、既存インフラを有効に活用しながら、さまざまなベンダーとパートナーシップを生かして、ベストブリードな製品群からの選択肢を提供していく」――。デル株式会社は2日、ネットワーク事業に関する説明会を開催。その中で、デル 公共ソリューション本部 アドバンスドシステムズグループ ネットワーク・スペシャリストの草薙伸氏は、自社のネットワーク戦略をこう説明した。

 ネットワークは、以前からデータセンターにおける重要な構成要素であったが、サーバー仮想化を中心として、データセンター全体が仮想化される流れの中においては、その重要度が増してきている。その中でも特にEthernetは、普及がめざましい。

 以前は、いわゆるLANだけだったEthernetの世界だが、iSCSIによってストレージへの活用が広がっているほか、WAN/MANを経由して広域に広がるようになった。一方で、Data Center Bridging(DCB)として標準化が進んでいる低遅延・ロスレスのConverged Enhanced Ethernet(CEE)や、DCB上でファイバチャネル(FC)プロトコルを利用するFCoEによって、SANの本格的な統合も視野に入ってきているのが現状だ。

 デルでも、「40G/100Gの標準化がまもなく行われるなど、EthernetはファイバチャネルやInfiniBandといったほかのファブリックを上回る進化を遂げており、伝送路はすべてEthernetに集約されるとの考え方を持っている」(草薙氏)のだという。

従来のPowerConnect製品とW-Seriesをエッジに、B-SeriesやJ-Seriesをコアに用いていく

 こうした状況を受け、同社では、Ethernetを中心としたデータセンターのネットワークを提供すべく、ネットワークにも大きな投資を継続しているとのこと。その一環として、米Juniper Networks(以下、Juniper)、米Brocade Communications Systems(以下、Brocade)、米Aruba NetworksとOEM契約を締結し、それぞれの製品を、J-Series、B-Series、W-Series(日本未発売)として自社のポートフォリオに加えている。

 草薙氏はこの意図を、「従来のPowerConnect製品とW-Seriesをエッジに配置。ストレージに強いBrocade、WANやセキュリティで実績のあるJuniperの製品と組み合わせることで、大きな効率性をネットワーク運用にもたらすというのが、当社が提供したいファブリックビジョンだ。独自技術を用いてベンダーロックインするのではなく、オープンな標準技術を採用するベンダーとパートナーシップを結び、ソリューションを提供しようと考えている」と説明した。

 なお、こうしたビジョンを具現化するには、これらの、もともとの提供元が異なる製品を含め、データセンターを統合管理するツールが重要になる。そこでDellでは、9月29日(米国時間)に新たな「Virtual Integrated System(VIS)」アーキテクチャを発表。ここに含まれる、「Advanced Infrastructure Manager」「VIS Director」などのツールによって、仮想・物理の両環境を網羅したデータセンターの効率化を支援し、「Vblock連合に対抗する」(草薙氏)としている。

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