FJB、新会社「富士通マーケティング」の事業方針を発表

パートナーと中堅民需拡大へ、商品力・クラウドビジネスを強化


富士通 執行役員副社長の生貝健二氏

 株式会社富士通ビジネスシステム(以下、FJB)は9月29日、富士通グループの中堅民需市場向けビジネスを担う中核会社として、10月1日から事業開始する新会社「株式会社富士通マーケティング(以下、FJM)」の事業方針説明会を開催した。併せて、中堅企業向け商品強化の一環として、SaaS型業務アプリケーション「GLOVIA smart きらら」の第一弾「GLOVIA smart 会計 きらら」を10月より販売開始すると発表した。

 新会社として10月1日から始動するFJMは、富士通グループの中堅民需市場向け中核会社として市場責任を担い、商品力強化に取り組み、パートナーとともに事業拡大を図っていく。富士通 執行役員副社長の生貝健二氏は、事業方針説明会で、「富士通グループでは、国内テクノロジーソリューションビジネスの拡大に向けて、中堅民需市場を重点市場に位置づけている。これまで富士通には、中堅民需市場に対する統合した組織や機能は存在しなかったが、今回始動するFJMは、販売パートナーと連携し、中堅民需市場にフォーカスした事業展開を行っていく」と、富士通グループにおけるFJMの位置付けを述べた。

中堅ソリューション開発機能を有する製販一体会社中堅民需ビジネスにおける販売パートナー支援を強化

 また、生貝氏は、「従来のFJBは、直接販売およびサポートがメイン事業だったが、FJMでは中堅民需向けのソリューション開発機能を有する製販一体会社として、中堅民需市場向けビジネスを展開する。これに向けて、4月1日付で富士通からソリューション開発部隊150人を移管し統合した。さらに、10月1日付で富士通から東名阪地区のパートナー支援部隊約100人を移管・統合し、中堅民需ビジネスにおける販売パートナー支援機能をさらに強化する」と、富士通とFJBのノウハウを融合させることで、中堅民需市場において商品企画・製造からサポートまで一貫して事業展開できる体制を整備したという。

FJB 代表取締役社長の古川章氏富士通マーケティングとしての新たなミッション

 FJB 代表取締役社長の古川章氏は、FJMの新たなミッションについて、「FJBは今まで、大手および中堅民需への直販を中心にソリューション事業を展開してきたが、新生FJMでは、ここにパートナーコラボレーション事業と商品企画・開発事業が加わることになる。これにより、直販とパートナーとのコラボレーションによる中堅民需市場における顧客サポートや、中堅市場に最適なソリューションおよびサービス商品の企画・開発に力を注いでいく。また、自社商品だけでなく富士通グループ商品、パートナー商品、中堅民需市場に適したISV、IHV商品の販売と導入を支援し、パートナーとともに中堅民需市場におけるシェア拡大を目指す」と説明した。

 そして、中堅民需ビジネス拡大に向けた重点施策として、(1)クラウド時代を見据えた中堅民需市場向けソリューションの商品力強化、(2)中堅クラウドサービスの展開、(3)パートナーとのコラボレーション、(4)中国進出のサポート――の4点を掲げた。

中堅民需市場向けソリューションの商品力強化中堅クラウドサービスの展開

 具体的には、中堅民需市場向けソリューションの商品力強化では、富士通から移管した150人とFJBの商品開発部隊120人を融合し、10月1日付で270人体制の商品事業組織を立ち上げる。また、中堅企業向け業種・業務ソリューション「GLOVIA smart」を中核とする中堅民需市場向けパッケージ製品の品揃えや機能強化、およびパートナーとのソリューション連携強化を図る。さらに、中堅ITサービス商品の強化も行い、インフラ構築・運用からオフィス環境整備までのサービス商品(15カテゴリ・167種)や、顧客の要望にワンストップで対応するセット商品を10月から新たに提供開始する。

 中堅クラウドサービスの展開では、パートナーとともに中堅クラウドビジネスを強力に推進する。パートナーソリューションのSaaS化と拡販を支援するほか、パートナーに富士通グループの中堅クラウド基盤の提供を行う。また、パートナーの保有するデータセンターを活用した「GLOVIA/GLOVIA smart」SaaSビジネス展開も支援していく。

 パートナーとのコラボレーションについては、販売・商品・リソース・調達の4つの領域において多面的なコラボレーションを行う。特に販売コラボレーションにおいては、新パートナー支援プログラム「MAST(mid-Market Strategy Team)」を活用し、パートナーと共同で中堅民需市場をサポートする。「MASTでは、パートナーのビジネス目標を共有し、その達成に向けた取り組みを強化する。ターゲット市場の選定や面の攻略、Webマーケティングによるリード開拓などを共同で行うほか、きめ細かい支援メニューを整備する。これにより、顧客への提案力強化、商談のスピードアップを支援するとともに、利益にも貢献し、パートナーとの真の協業を目指す」(古川氏)としている。

 中国進出のサポートとしては、今後中国市場でビジネス展開したい顧客に対して、コンサルティング、ECサイト出店支援、現地ITサポート、人材など様々な面から中国進出を支援する。

 FJMは、こうした取り組みにより、2009年度の売上高1380億円(FJB)を、2015年度には3000億円まで拡大する計画。このうち、中堅民需市場向けの売上高は、2009年度の1390億円(富士通グループ合計)に対して、2015年度は2000億円を見込んでいる。また、同市場におけるシェア目標も、2009年度の10%(推定)から15%に引き上げる。

 なお、FJBでは、FJMとしての事業スタートにあわせ、中堅企業向け商品ラインアップおよびクラウドサービス強化に向けた新製品として、SaaS型業務アプリケーション「GLOVIA smart きらら」を投入することを発表した。10月から、第一弾として「GLOVIA smart 会計 きらら」の販売を開始する。

「GLOVIA smart きらら」のコンセプトGLOVIA smart クラウド商品のリリース計画

 「GLOVIA smart きらら」は、“すばやく、むだなく、だいかつやく”をコンセプトに、「GLOVIA smart」のノウハウを継承しつつ、クラウドの新技術を取り入れた新シリーズ。SaaS型での提供により、インターネットに接続したPCを用意するだけで短期間で利用できる。また、富士通グループのデータセンターで保有するサーバーやソフトウェアを利用することで、顧客側でそれらを購入する必要がなくなる。さらに、月額利用料での契約のため、システム導入時における初期費用の負担を軽減できる。

 顧客の業務データは、データセンターで万全に保護。このほか、法改正や制度改正によるプログラムの入替えや機能強化など、最新システムへの更新もデータセンター側で実施するため、顧客はIT運用の負担を軽減でき、常に最新の機能を利用できる。なお、自社で導入したい顧客向けには、同一の業務アプリケーション機能をパッケージ版でも提供するという。

 第一弾の「GLOVIA smart 会計 きらら」では、会計業務を素早く始められる機能をSaaS型でサービス提供する。価格は、基本サービス(1ユーザーID)が月額9800円から。パッケージ版は、基本サービス(2ユーザーID)が46万5000円からとなる。

 同社では今後、人事給与、生産、販売など「きらら」シリーズのラインアップを順次拡充し、2013年度までにSaaS、パッケージあわせて1万社への提供を目指す。


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