日本オラクル、包括的な業務プロセス管理を実現する「BPM Suite 11g」
日本オラクル株式会社は22日、業務プロセスの改善を支援する統合ソフトウェア製品の新版「Oracle Business Process Management(BPM) Suite 11g」を発表した。価格は最小構成で502万1100円から。
日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部の井上憲マネジャー |
特徴は、まず、統一された開発基盤・管理基盤を提供する点。日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部の井上憲マネジャーによれば、従来は、「これまでは、業務プロセス設計はBPMNで行い、実行するときにはBPELなどの実行言語に変換するのが普通で、それぞれに独立したインスタンスが作られ、それをマッピングしていたことから、設計に時間がかかってしまっていた」という。これを解決するため、新版では、MPMN 2.0のネイティブ実行に対応したほか、BPEL表記とBPMN 2.0が統合された環境で開発でき、開発生産性の向上が図られている。
また、コンポーネントごとに管理を行うと、どこにシステムのボトルネックがあるのかが見えにくくなる。そこで新版では、コンポーネントをまたがって統合的に管理できる統合管理画面を提供し、システムのどこにエラーがあるのかを素早く見つけ出せるようにした。
従来は独立した業務プロセス設計と実行環境を統合し、単一のシステム基盤を提供する |
業務部門が自らプロセスを変更できる仕組みを用意した |
さらに、従来のBPMでは、改善すべきプロセスの課題を業務部門が洗い出し、それをIT部門が実装するといった手順を踏んでいたため、実際に反映するまでのリードタイムが長くなってしまっていたという。今回はこの点を踏まえ、専門知識を必要としないプロセス変更機能を提供。業務部門自らが迅速に業務プロセスや意志決定フローを変更できるようにしている。さらに、プロセス自体ではなく、ビジネスルールを動的に変え、変化に迅速に対応していける機能も盛り込まれた。
加えて、プロセス化が難しい部分に対する、効果的な対応を支援する機能を追加している。具体的には、情報を集約して表示するポータル機能や、プロセス改善のために、業務担当者とIT担当者がコミュニケーションできる基盤を用意した。井上氏は、「プロセス化できない部分でも、情報を一元的に見られれば対応品質の向上が可能。業務生産性を上げるインターフェイスをともに提供する。また、複数部門の人間が1つの情報をもとに業務をする、チーム内で情報共有をするための仕組みを用意し、情報共有をしながら課題を解決できるようにしている」と述べ、新機能の価値を説明した。
なお、BPMについては、「どこが投資対効果が高そうか、という点を判定しながら、投資が小さくリターンが大きそうな部分を改善していく」(井上氏)といった取り組みが必要になるので、製品・機能だけを用意したからといって、すぐに取りかかれるものではない。
そこで日本オラクルでは、過去のノウハウを生かして顧客にアセスメント、コンサルティングを提供する体制を整えるとともに、パートナー企業とも密に連携して、BPM製品の拡販に取り組んでいく考え。
NEC プラットフォームビジネスユニット ITソフトウェア事業本部 第三ITソフトウェア事業部の山下孝行主任 |
同日行われた発表会では、パートナーの1社として日本電気株式会社(NEC) プラットフォームビジネスユニット ITソフトウェア事業本部 第三ITソフトウェア事業部の山下孝行主任が登壇。「ビジネスプロセスの可視化をしてきたお客さまは多くいるが、プロセスのライフサイクルがどんどん短期化していく中で、手作業では限界がある」と述べ、将来的にはBPMのシステム化が必要となる。
しかしこれまでのBPM製品では、プロセスのシステム化を包括的にカバーできるものがなかったほか、「業務部門がプロセスを変えられるような戦略の柔軟性、日々変化する状況にビジネスルールの変更で対応できる柔軟性、IT資産を柔軟に組み替えられる柔軟性を兼ね備えた製品はなかった」という点を指摘。こうした点を解決できる、Oracle BPM Suite 11gに対して期待を表明した。