マイクロソフト、スマートフォンとクラウド、米本社をつなぐデモを実施
ビジネスユーザーにWindows Mobileの価値を訴求
マイクロソフト株式会社は、「ワイヤレスジャパン2010」の会場でWindows Mobile 6.5.3を搭載したスマートフォンを利用し、クラウド、米Microsoft本社内のサーバー、Windows 7を繋いだトリプルプレイデモを実施した。
デモが行われたのは、ワイヤレスジャパン2010内の大塚商会主催のセミナー会場。大塚商会では同社ブース内に出展するマイクロソフトをはじめ、日本IBM、シトリックス、インテル、サイボウズなどのソリューションを紹介するセミナーを実施していた。
■ビジネスユーザーにWindows Mobile/Phoneのメリットを紹介
マイクロソフト モバイルコミュニケーション本部の越川慎司本部長 |
マイクロソフトが行ったセミナーのタイトルは「Windows Phone ビジネス活用最前線」。モバイルコミュニケーション本部の越川慎司本部長がビジネスシーンでWindows Phoneを活用する際にメリットとなる場面を紹介する形式でデモを実施した。
まず、越川本部長はWindows Phoneを搭載したスマートフォンが増加し、ウィルコム、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIとキャリアが拡大していることを紹介。
「搭載されているWindows Mobile 6.5.3は日本のユーザーの声を反映させたOSで、静電容量サポート、ナビゲーションボタンの配置、アイコンの巨大化などを実現させている」(越川本部長)と機能的向上を訴えた。
その上でビジネスユーザーに対して、「パソコン、クラウド、サーバーのトリプルプレイによって、皆さんの生活、ビジネス現場がどう変わるのかをデモでお見せしたい」とデモの狙いをアピール。「マイクロソフトとして最も投資しているのがクラウドエリア。ほぼ全てのプロダクトクラウドに持ってくることを明言しているのは、ご承知の通り。Windows Phoneを含め、どのスクリーンからも同じデータを利用できる環境を整えていく」とクラウドによってWindows Phoneにも大きな変化が訪れると説明した。
Windows Mobile搭載のスマートフォンは全キャリアに拡大 | ビジネスシーンでのスマートフォン利用に大きなメリットがある「Office Mobile 2010」は、Windows Mobile 6.5以上搭載のスマートフォンなら、無償で利用可能 |
スマートフォンをはじめ携帯電話では当たり前となっている写真撮影についても、「撮られた写真の95%がメディアに残されていると言われている。無償で提供しているオンラインサービス「My Phone」を使えば、写真の共有が簡単に行える。例えば、この写真は購入した宝くじが当たり番号と下二桁だけ違う。なかなかない機会なので、仲間と共有したいと写真に撮り友人と共有している。この仕組みは、ビジネス現場でも利用できる。出張の際など、気になったものを積極的に写真に撮って、部内のスタッフと共有している」と写真による情報共有を紹介した。
デモは実際にスマートフォン経由でクラウドサービス「My Phone」にアクセスして行われた | |
写真の共有、ドキュメントのアップデートといった作業がパソコン、スマートフォンと連携できる |
また、6月に発売になったOffice 2010のモバイル版である「Office Mobile 2010」を紹介し、「このソフトは、Web経由であればWindows Phoneに限らず、PC、iPhone、Android端末でも利用できる。しかし、Windows Phoneはハードにソフトが搭載されているので、外出先からSharePoint 2010にアクセス、OneNoteのメモをPCに同期するといった使い方が可能になる」と、Windows Phoneのメリットをアピール。
デモに利用したWindows PhoneでSharePoint 2010経由でWord、Excelのドキュメント共有できるほか、「予定表、メールのデータ共有が可能となり、さらに本日のようなプレゼンテーションに利用するPowerPointのデータが利用できる。データをWindows Phone上で修正し、それをサーバーに戻すことも可能となる。実は今日のプレゼンデータについては、クラウドにストックされていたプレゼンをりんかい線に乗車中にプレゼン実施時間に合わせて修正し、簡単な練習をして臨んだ」と実体験に基づいて説明した。
さらにプレゼンの画面は、Windows Phoneと楽屋に置いたパソコンをBluetoothで接続し、Windows Phoneをリモコン代わりに利用。展示会の会場で、パソコンとの距離が遠かったこともあり、時折、接続が切れることもあったが、それが逆にリアルさを感じさせるデモとなった。
スマートフォンとパソコンをBluetoothで結び、スマートフォンをPowerPoint再生用リモコンとして利用することも可能。実際のデモもこの方式で行われた |
■Microsoft本社との接続デモを実施
次にSharePoint 2010を経由することで、VPNを経由せずに米国のMicrosoft本社に置かれたサーバーにアクセスするデモが行われた。
「セキュリティの問題から、モバイル端末にはデータを持たせたくないという声をよく耳にするが、このデモではそれが実現していることをお見せしたい。この資料は、実際に数日前に行われた会議のデータを記録したもの。本当の会議データなので記録されている音声は公開できないが、使われている資料、参加者の様子はリアルなものだ。今回のように自分が展示会で参加できない会議は、会議の様子をレコーディングしてサーバーに保存することで、ストリーミングのように見て、後で確認するといった使い方も可能となる」。
「私自身も会議当日の帰り道、電車の中で会議の様子を見た。Web会議だけでなく、eラーニングなどでも活用できるのではないか。また、ネットワークはVPNではなく、公衆回線を使いながらセキュリティを保つことも可能となるので、流通業の皆様がリアルタイムで在庫を確認するといった使い方も可能となるソリューションだ」(以上、越川氏)
スマートフォンを米国のMicrosoft本社に置かれているサーバーに接続し、先週行われた会議の様子を再生。実際の会議の記録とあって音声は非公開だったが、音声、動画、プレゼン画面が記録されている | 米本社内サーバーへのアクセスは、SharePoint WorkPlace Mobile 2010を利用して実現。VPNではなく、パケット、無線LAN経由でありながら、セキュリティを確保できるのが特徴 |
さらに越川本部長は、Office 2010で大きくフィーチャーされているOneNoteをとりあげ、「情報をより活用していくためには、パソコン、モバイル、クラウドのそれぞれで集めたデータを重ね合わせて利用していくことが必要となるが、それが実現するのがOneNote。マイクロソフトでは、ソフト+サービスとアピールしてきたが、クラウドだけですべてが完結するわけではない」とパソコン、モバイル、クラウドの連動が利用者にとって大きなメリットだと説明した。
■佐川急便に2万4000台を導入
佐川急便は全国のドライバーへ、2万4000台を導入 |
日本でも佐川急便の2万4000台をはじめ大規模導入を始めたユーザーが紹介された。
「佐川急便は全国のドライバー2万4000台のWindows Phoneを導入し、これまで4台利用していた端末数を、Windows Phone+クレジット認証用端末の2台に集約し、ドライバーの機動力、ハードウェアコスト、通信コストの削減を実現。さらに不在通知をドライバーとエンドユーザーがダイレクトやり取りすることで、無駄な訪問回数を減らすことも実現した。この後で、ヤマト運輸がKDDIの端末を5万3000台導入することが発表になったが、これは国内のみならず、アジアで最大の導入数となった」。
コミュニケーションコストの削減については、マイクロソフトではオンラインサービス「Exchange Online」を利用して、電話をかける相手が在席しているか、不在かを確認した上で電話できることを紹介。これによって、「電話による確認が必要な際、事前に確認することで大幅に時間、コストが適切なものとなる。実際にこの仕組みを導入したキリンビールでは、コミュニケーションコスト3割減を実現したという実績も出ている」と述べ、コミュニケーションに大きな変革をもたらすと強調した。
Exchange Onlineなどオンラインサービスと連携して利用することで、電話をかける前に在籍、離籍などを確認してから電話することで、相手を待たずに連絡ができるコミュニケーションインフラとして利用。電話をかけなおす時間、コストが削減できる |
これを実現するために、マイクロソフトとしてはクラウド、社内サーバー、PC、Windows Phoneを組み合わせたソリューションを提供し、「展示会に参加している大塚商会のようなパートナー企業経由で導入企業をますます増やしていきたい」と話した。