IPA、クラウドへのOSS適用性を調査-KVMとOpenJDKに関する結果を公開
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)オープンソースソフトウェア(OSS)・センターは、クラウド環境構築へのOSSおよびオープンな標準の適用可能性を4テーマに分けて調査。そのうち、2件の報告書を8日に公開した。
同調査は、プライベートクラウド(社内クラウド)構築の際に必要とされるであろうテーマについて、OSSの観点から適用可能性を検証したもの。実施したのは、(1)OSS仮想化機構・KVMについての調査、(2)アプリケーション実行基盤としてのOpenJDKの評価、(3)社内向けクラウド構築のために活用できるソフトカタログ作成、(4)クラウド運用管理ツールの基本機能・性能・信頼性評価の4テーマ。
(1)では、KVMについて「基本機能評価」「耐障害性の検証」「VM負荷がほかのVMに与える影響」「運用シナリオ」からなる4種の評価を実施し、KVM導入を検討する際の参考資料を作成した。
(2)では、Javaの分野で広く使用されているSun JDKとオープン化されたOpenJDKについて、クラウド環境上で詳細に解析して比較。仮想化環境での相互運用性評価、ソースコード解析などにより、Sun JDKとOpenJDKの違いを確認し、OpenJDKが問題なく使用できるか、相互運用性の観点から互換性が保たれているかを検証した。
(3)では、クラウド構築のためのソフトを9つの機能「仮想化機構に関するソフト」「システム監視・管理システムに関するソフト」「特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフト」「クラウド運用・管理ソフト」「シングルサインオンソフト」「ディレクトリサービス」「分散処理基盤」「分散ファイルシステム・データベースに関するソフト」「分散ファイルシステム」「分散データベース」に分類し、31のOSSについて「基本情報」「サポート」「開発の安定性」「成熟度」「機能」の5つの評価軸から、総合評価点でわかりやすく表示した。
(4)では、社内クラウド構築で重要な運用管理について、いくつかのツール(Eucalyptus、Zabbix、virt-managerなど)、認証基盤(OpenLDAP、OpneAMなど)を実用性の観点から実機を用いて評価した。
今回は、「企業・政府・自治体などで社内クラウドを構築するにあたり、活用できるOSSの動向を調査するとともにその機能や性能を評価し、OSSによるクラウド構築の基礎資料を作成した。システム担当者・開発者がクラウド環境を構築する際の参考となることを期待している」(IPA)として、(1)と(2)に関する成果物を公開した。