デル、単一筐体内で自動階層化が可能なiSCSIクラスタストレージなど

VMwareとの連携を強化した「Dell EqualLogic」向け新OSも


 デル株式会社は8日、「Efficient Enterprise」戦略を強化するストレージ製品群を発表した。iSCSIクラスタストレージ「Dell EqualLogic PS6000XVS」「同 PS6010SVS」、iSCSIストレージ「Dell PowerVault MD3200i」、DAS製品「同 MD3200」といった各製品をラインアップに加えている。

 

1筐体内での階層化を実現、新OSによってVMware連携も強化

Dell EqualLogic PS6000XVS/6010XVS

 新製品のうちDell EqualLogicブランドの2製品は、450GB SAS HDD×8と100GB SSD×8を1つの筐体に収納した、iSCSIクラスタストレージで、PS6000XVSがGigabit Ethernet(GbE)、PS6010XVSが10GbEのモデル。記録密度に優れるSAS HDD、パフォーマンスに優れるSDDの長所を活用するとともに、階層化とロードバランシングの技術を用いて、1台の筐体内でも自動階層化を行えるようにしている。

 ラージエンタープライズ・マーケティング ソリューション・マーケティング・マネージャの大植吉浩氏によれば、I/Oスループットの高さを生かし、デスクトップ仮想化(VDI)環境のパフォーマンスを大幅に向上できるとのことで、同社の検証では、仮想マシンの起動時間を、最大76%向上させたという。

 なお、データ保護については、8台ずつ搭載するディスクドライブのうち、各1台をホットスペアとして確保した上で、SAS HDDとSSDそれぞれのグループごとにRAID 6を構成する予定で、高い可用性を確保するとしている。

 いずれも提供開始は8月下旬の予定で、価格は未定。

 また、この新製品や既存製品を含むすべてのDell EqualLogic製品に対し、最新の「のDell EqualLogic Firmware 5.0」が、7月下旬より無償提供される。

 新機能は大きく3つ。1つ目の「Volume Admin Role」では、新たにボリューム限定の管理者を設定可能とし、ユーザー独自にボリューム内の使用領域を管理・変更できるようにする。これによって、ボリューム内の構成をユーザーに任せられるようになるため、ユーザー側の自由度が向上するほか、管理者側の負担を軽減できるとのこと。

 2つ目の「Thin Clones」は、仮想的なクローンを作成し、ディスク容量の削減に貢献できる機能。元になるテンプレートボリュームをベースに、仮想的なクローン(Thin Clone)を作成しても、テンプレートボリュームは実際にはコピーされず、Thin Cloneからのリンクが張られるだけのため、ストレージ容量の消費は最小限で済む。デルでは、開発・テスト環境や、VDI環境などでより効果的と説明する。

 3つ目は、VMwareとの連携によるパフォーマンス向上で、「vStorage API」に対応し、ディスクのコピーをオフロードできるため、クローニング、ストレージVMotionなどの高速化が図れるという。大植氏はこれについて「データを移動させようとした時に、サーバーを経由せず、ストレージ内部で移動できるようになることから、プロビジョニング時間を最大72%短縮できた。ネットワークトラフィックも95%以上削減可能だ」と述べ、メリットを強調した。

Volume Admin RoleThin Clones
VMwareとの連携を強化

 

性能、ポート数、容量を拡張したエントリーストレージ

Dell EqualLogic PS6000XVS/6010XVS

 MD3200/MD3200iでは、「Dell PowerVault MD3000/3000i」と比べ、コントローラあたりで2倍の性能を実現。拡張エンクロージャーの利用で、最大96台のディスクドライブを搭載できるほか、アレイあたりのポート数も2倍に拡張されている。大植氏は、「エントリー製品ながら、パフォーマンスや機能を向上し、中小規模の統合用途に効果的だ」と述べた。

 価格はMD3200が74万3400円から、MD3200iが83万5800円から。提供はすでに開始されている。

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