日本ラッド、PUEが1.1以下の排熱型クラウド用データセンター~10月竣工予定
日本ラッド株式会社は29日、空調機をまったく使わず、外気のみでサーバーの除熱を行うデータセンターの建設を6月24日に着工したと発表した。
データセンターのPUE(消費電力効率)は1.1以下(設置ラック数200ラック、供給電力=6KVA/ラック)。建設方式は既存建屋改造改修方式により、予算規模は第一次施工で、既存建屋大規模補修費用を含めて1億7300万円となる見込み。
日本ラッドでは、2009年5月から外気のみで冷却する省エネ型のデータセンターの実証実験を行なっており、この方式の特徴をもとに「排熱型(以下同方式)データセンター」と命名した。関連特許も出願済みだという。
排熱型データセンターは、従来方式と比べ建設費を2分の1~7分の1程度に圧縮することが可能だという。また、消費電力が半減することで、電力余力が拡大し、ラックあたりの供給電力も拡大するとしている。
また、空調機スペースの大幅削減によってセンターで全体に200ラックを設置運用することが可能で、日本ラッドの試算によれば、年間1億5000万円以上の電気利用料金が節約できる。消費電力低減により、CO2排出量の大幅な削減も実現する。
今後、新設データセンターのほとんどは排熱型になると日本ラッドは見ており、実証試験結果と商業用センター1号機の運用および建設のノウハウ、申請済みの特許等を用いて、排熱型(外気冷却方式)データセンターの建設コンサルティング事業も開始した。
なお、日本ラッドでは、排熱型データセンターの実証実験で得られた結果として、以下4点を昨年9月に発表した。1)夏でも外気のみの除熱でサーバーCPU温度を既存データセンターよりも低くすることが可能、2)真夏でも、世界最高レベルの消費電力効率(PUE)1.07を実現、3)空調機など電力需要関連設備の大幅な削減・小型化により、建設コストも大幅な削減が可能、4)東京地区でも冬季の外気気温条件は低すぎるためデータセンターの加温対策、温度一定化のためのシステム等が必要であること。
4)については、実証実験で東京都内の冬季気温環境である「摂氏0度」前後の環境下では、サーバー故障率が高くなることがわかっているという。このため、サーバ排熱の再利用還流などの実験を行っているとしている。
排熱型においても、冬季の加温および恒温化は夏季よりも制御が必要なことが判明しているため、新たに建設するデータセンター内でも、検証結果をもとに、外気冷却方式の弱点である冬季低温対策を拡充するなど、さらに性能向上および信頼性向上に努めるとしている。