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CTC、AIに関連する開発プロセスや技術を体系化
第1弾としてAI活用のためのハイブリッドクラウド環境を提供開始
2017年10月16日 06:00
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)は13日、データの準備、学習、アプリケーション開発などのAIに関連する開発技術を体系化し、それに対応したAI活用のためのハイブリッドクラウド環境「CTC Integrated AI Platform Stack」(CINAPS)を、同日より提供開始すると発表した。同日に行われた記者発表会では、AIプラットフォームに向けた技術戦略について説明するとともに、新たに提供する「CTC Integrated AI Platform Stack」のソリューション概要を紹介した。
今回、CTCでは、AIの企業利用を支援するため、AI開発におけるデータの準備、学習、アプリケーション開発という3つのサイクルを統合した技術体系を策定。それぞれのサイクルで必要とされる技術や要件を明確にし、関連するソリューションをマッピングしたという。今後、この技術体系に基づき、顧客の状況に適したコンサルティングサービスやソリューションを提供することで、AI開発における設計から運用、継続的な改善を含めて総合的に支援していく考えだ。
CTC 常務執行役員の粟井利行氏は、同社の技術戦略について、(1)エンタープライズクラウド、(2)ハイブリッドセキュリティ、(3)ハイブリッド運用、(4)ハイブリッドインテグレーション、(5)3rdプラットフォームテクノロジーの5つの注力分野を挙げ、2ndプラットフォームに加えて3rdプラットフォームの取り組みを強化していることを強調。
「エンタープライズクラウドでは、昨年8月に基幹系特化型クラウドサービス『CUVICmc2』を提供した。また、オンプレミスとクラウド双方の環境で同等のセキュリティサービスを提供できるようハイブリッドセキュリティ製品を拡充するとともに、ハイブリッド環境を意識した運用サービスの共通化を図っている。さらに、ハイブリッドインテグレーションでは、2ndプラットフォームと3rdプラットフォームのハイブリッドニーズに対応するインテグレーション機能を提供。そして今回、3rdプラットフォームテクノロジーの展開として、AI開発のプロセスと技術を新たに体系化し、その第1弾ソリューションとして『CTC Integrated AI Platform Stack』をリリースする」と説明した。
CTCでは、AIへの取り組みとして、今年1月に株式会社グリッドと業務提携し、同社の機械学習/深層学習フレームワーク「ReNom(リノーム)」を活用したAIサービスの開発・提供で協業を開始しており、製造、通信キャリア、金融、エネルギーなどの分野におけるAI利用を共同で推進している。
CTC エグゼクティブエンジニアの照井一由氏は、「“AI=アルゴリズム”という構図を想像しがちだが、それはAIを構成する一要素に過ぎない。AIビジネスには、アルゴリズムに加えて、データ、タレント、コンピュテーションの要素が重要になる」と指摘。「とくに、計算の速度や正確さを確保してAIをビジネス活用するためには、膨大なデータを処理できる高性能なコンピューティングリソースが求められ、システム性能不足でAIの開発を断念せざるを得ないケースも出てきている。そこで、効率的なAI開発を推進するためのハイブリッドクラウド環境として『CTC Integrated AI Platform Stack』を提供開始する」と、AI活用に最適化したITインフラソリューションを提供する背景を述べた。
「CTC Integrated AI Platform Stack」では、AIインフラ基盤で技術的に留意すべき設計ポイントをノウハウとして体系化。例えば、AIのデータ収集、加工、分析などの各プロセスでは、シーケンシャルもしくはランダムというデータへのアクセス方法、GPUの使用/不使用といったインフラ要件が異なることから、プロセスやセキュリティ、コストなどの要件に柔軟に対応できるハイブリッドクラウドの環境を用意した。
また、プライベートとパブリッククラウドの両方で、軽量な仮想環境であるコンテナ技術のDockerや自動管理ツールを導入し、AIを使用したアプリケーションの開発からサービス提供環境への移行まで含めて、プライベートとパブリック間での移動が素早く行える環境を提供。これにより、PoC(概念実証)からサービス提供までの全プロセスを効率化する継続的インテグレーションを実現する。
さらに、大規模ハイブリッドクラウド構築の長年の実績とノウハウに基づき、サーバーやストレージ、パブリッククラウド、AIフレームワークを組み合わせた検証済みプラットフォームを提供。マルチベンダーで総合的な検証や研究開発を行うCTCの施設「テクニカルソリューションセンター(TSC)」でも同ハイブリッドクラウド環境を配備し、顧客の目的に応じた検証を行う。
同社では今後、「CTC Integrated AI Platform Stack」について、AIフレームワークや管理機能を拡充するとともに、今回策定したAI開発の技術体系に沿って、既存システムとAI開発を連携するソリューションや特定業務に特化したソリューションなどを提供し、顧客のAI活用によるデジタルトランスフォーメーションを支援していく方針。AI関連のビジネスで3年間で50億円の売上を見込んでいる。