ニュース

「ソフトウェアがイノベーションを実現する」、米CA TechnologiesのCTO

 「企業がイノベーションを持続させるのに必要な要素は2つある。アイデアを生み出す仕掛けと、アイデアの実現に必要なソフトウェアだ」――。

 開発支援ソフトや運用管理ソフトを手がける米CA Technologiesは14日、都内で会見し、ユーザー企業のイノベーションを支えることを目的とした同社の製品開発の取り組みをアピールした。

 会見ではまず、同社の製品がユーザー企業のイノベーションに活用されている例をいくつか示した。例えば、化粧品会社のLOREALは、API管理製品の「CA Mobile API Gateway」と「CA API Developer Portal」を使って、ECの取引/支払いシステムを標準化した。電子商取引のためのAPIを公開/管理し、セキュリティを確保している。

 継続的なテストとデリバリによって早期にサービスを提供できるようにした例が、自動車の金融サービスを提供するGM Financialである。資金調達にかかる時間が5分の1に短くなったほか、サービスを導入するまでの期間が98%短くなった。ソフトとしては、「CA Service Virtualization」「CA Test Data Manager」「CA Continuous Delivery Director」「CA Agile Requirements Designer」を使っている。

 イタリア内務省は、選挙に関する情報を自治体から収集し、関連機関に情報を発信している。性能監視ソフトの「CA Application Performance Management」を使って性能面でのボトルネックを明らかにしているほか、「CA Identity Suite」でセキュリティを実現している。「CA API Gateway」も導入して安全にAPIを公開している。

 これらの事例から分かるように、「ソフトウェアがイノベーションを実現する」と、米CA Technologiesで最高技術責任者を務めるオットー・バークス氏は強調する。「ソフトウェアは、変化が著しい市場や顧客の要求に対して、アジャイルな俊敏性で答える。性能で顧客体験の質を高める。セキュリティも担保する」(バークス氏)。

米CA Technologiesで最高技術責任者を務めるオットー・バークス氏
ソフトウェアがイノベーションを実現する

 こうした背景から米CA Technologiesでは、ユーザー企業がアイデアを実現できるように、ソフトウェア製品群を提供しているという。また、米CA Technologies自身も、市場に投入する製品につながるアイデアを社内で醸成する仕組みとして「CA Accelerator」と呼ぶ仕組みを構築している。

アイデアをふ化させる仕組みを社内に組織化、すでに製品化も

 CA Acceleratorは、ソフトウェアベンダーである同社が、市場に投入するソフトウェア製品のアイデアを効率よく生み出すための仕掛けである。アイデアのインキュベータとして機能する。「小規模に始めて、うまくいきそうならさらに投資する。ビジネスモデルとして実証されて、ユーザーに受け入れられる見通しがついた際には、製品開発につなげる」(バークス氏)。

CA Acceleratorはアイデアのインキュベータ

 ベンチャー企業と同様に、ほとんどのアイデアは頓挫し、製品開発までには至らない。しかし、気にしないとバークス氏は言う。「アイデアを生み出す力と、生み出したアイデアを実行に移して迅速に学ぶ環境を作りたかった」(バークス氏)からである。

 CA Acceleratorの仕組みを作ってから現在までに1年半が経過し、現在では9個のインキュベーションプログラムが動いている。「http://ca.com/accelerator」でこれら9個のプロジェクトにアクセスできる。同サイトにサインインすれば、これらのソフトウェア成果物をダウンロードして利用できる。

 さらに、今ある9個のインキュベーションとは別に、1つのインキュベーションがすでに成果となって実際に製品に反映されている。ビッグデータ分析のための機械学習エンジン「Project Jarvis」である。すでに主要な米CA Technologies製品に埋め込まれているという。

9個のインキュベーションが進行中。ダウンロードして利用可能

 現在進行中の9個のインキュベーションは以下の通り。

 コンテナ/マイクロサービス領域では、3つのインキュベーションが生まれた。「Yipee.io」は、コンテナベースのDevOpsのモデリングツールである。マイクロサービスをビジュアルにモデリングできる。「Qubeship.io」は、コンテナベースのアプリケーションを継続的にデリバリするためのワークフローを実現する。「FreshTracks.io」は、コンテナベースのアプリケーションを監視する。

 DevOps領域では、3つのインキュベーションが生まれた。「Cabot」はAIベースのチャットボットである。「CodePilot.ai」は、ディープラーニングを使ってコーディングを支援する。「Waffle.io」は、GitHubをよりよく管理するための仕掛けである。

 IoT領域でも、1つのインキュベーションが生まれた。「nowThings.io」は、仮想化環境の中でIoTデバイスやIoTゲートウェイを作りこむことができる。

 組織の生産性を高める領域では、2つのインキュベーションが生まれた。「Instant Agenda」は、無駄を省いた生産性の高い会議を実現する。「WhoZoo.io」は、組織内で適切な人材を見つけ、結び付ける。