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2017年度の国内企業のIT支出は大企業で増加傾向、AIやIoTへの投資も活発化~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は4日、国内企業および団体1197社のCIOまたはそれに準ずる人を対象とした、IT投資動向に関する調査の結果を発表した。

 2017年度の国内企業のIT支出計画は、全体では前年比で「変わらない」とする企業が60%以上を占めたが、大企業では「増加」が「減少」「変わらない」を上回っており、業務拡大などを背景にIT投資が活発化している。産業分野別でも、金融をはじめ大企業の比率が高い産業分野を中心に、IT支出の増加傾向が強くなっている。

 IT投資領域については、2016年度は相次ぐ情報セキュリティ事件を背景として、すべての従業員規模/産業分野でセキュリティに関する項目がトップとなった。一方で、2017年度に計画されているIT投資領域で用いられるテクノロジー/手法としては、AIが前年度よりも大きく回答率を伸ばしており、今後取り組むべき新しいテクノロジーとして注目されている。

社内ITエンジニアが開発を行うIT領域(全体の上位5項目のみ抜粋しグラフ化: 従業員規模別)(出展:IDC Japan)

 具体的なIT部門の取り組みとしては、社内ITインフラエンジニアや社内システム運用人材の強化を挙げる企業が増えている。社内向けシステムの開発を行うITエンジニアの数を増やすという回答も従業員規模に比例して多く、セキュリティや営業系システムなどIT投資の多い領域を中心に開発が行われている。加速するビジネス環境の変化を背景に、コストの抑制だけでなく、競争力の獲得のためにシステムの改修や刷新を自社で迅速に行えるようにするため、大企業を中心に運用や開発の内製化を進める動きが強まっていると分析している。

 その一方で、IT部門が関与しない、ユーザー部門独自のIT予算がある企業も従業員規模に比例して多く、特に大企業/中堅企業を中心に、AIやIoTなどへの投資が目立っている。製品やサービスが使いやすくなったことなどを背景に、大企業/中小企業のユーザー部門がIT部門の対応を待たず、積極的に新しいテクノロジーを導入していることが分かるとしている。

 IDC Japan ITサービスのシニアマーケットアナリストの吉井誠一郎氏は、「国内ITサービスベンダーには、単なる開発の請負ではなく、最先端のテクノロジーや手法によって顧客の社内エンジニアをサポートする役割が求められるようになるであろう」と分析している。