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インフラジスティックス、統合開発コンポーネントスイート「Infragistics Ultimate 2017」

 インフラジスティックス・ジャパン株式会社は27日、クロスプラットフォームに対応した開発ツールスイート「Infragistics Ultimate 2017 Vol.1 日本語版」の提供を開始。さらに同日都内において、「アプリ経済における開発者の役割の拡大」をテーマにプレス向けラウンドテーブルを開催した。

 Infragistics Ultimateは、WPF、Windows Forms、jQuery/HTML5、iOS/Android/Xamarinなどマルチプラットフォームに対応するUIコントロールを提供し、迅速なアプリケーション開発を支援する統合開発コンポーネントスイート。Web、モバイル、デスクトップのすべてに対応可能なUIコントロールと、生産性を向上させるProductivityツールとなっている。

 最新版はアプリケーションの要件定義フェーズからでもプロトタイプを作成できる「Indigo Studio」、Xamarin.iOS、Xamarin.Android、Xamarin.Formsに対応するRADツールとWYSWIGデザインを提供する「Infragistics Ultimate UI for Xamarin」、Angular、React、Knockout、BootstrapなどモダンWeb開発環境をサポートする「Ignite UI for JavaScript/HTML 5 and ASP.NETMVC」といった機能が強化されている。

 なお、これらの製品はVisual Studioのアドオンとして提供されているが、Indigo Studioおよび、Ignite UI for JavaScript/HTML 5 and ASP.NETMVCは、Eclipseなどほかの開発環境からも利用できる。

 価格(税別)は、「Infragistics Ultimate (JP) 2017 Vol.1」の通常サポート付きが19万8000円、「Infragistics Professional (JP) 2017 Vol.1」の通常サポート付きが16万8000円となっている。

 いずれも初年度のサブスクリプション費用が含まれており、次年度以降は初年度の半額で更新可能。また、インフラジスティックのサイトからは、各テクノロジーに対応するコントロール、チュートリアル、サンプルコード、その他各種ツールを試せる「30日間無料トライアル版」をダウンロードできる。

モビリティによってもたらされるアプリ経済は急速に拡大している

 ラウンドテーブルのテーマである「アプリ経済」について米Infragistics 開発ツール担当シニアバイスプレジデントのジェイソン・ベレス氏は、「アプリ経済とは、モバイルアプリ、モバイル広告、そしてモバイル端末そのものの市場全体を表している。10年前にはほぼゼロだったアプリ経済規模は、2016年には1300億ドルまで成長し、2020年には2000億ドル以上になると予測されている」と説明する。

 アプリ経済の成長を支えているのは、いわゆる「ミレニアム世代」と呼ばれるデジタルネイティブな若い世代以降の人々と指摘するベレス氏は、「子どものころからモバイルデバイスを利用しているミレニアム世代以降の人々は、業務アプリケーションでもコンシューマ向けのモバイルアプリケーションと同じエクスペリエンスを求めている」と述べた。

 さらにべレス氏は「多くの企業がアプリケーションのモビリティに関心を持っており、来年はモビリティに対しての投資が11%程度増えると予測されている。もはやアプリケーションはデスクトップPCだけにとどまることはない。デジタル変革によってビジネスは変化しており、企業は競争を勝ち残るためにイノベーションを起こさざるを得ない状況となっている。勝つためには新しいスキルを身につけなければならない」と述べ、Infragisticsがアプリケーション開発の現場から、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援していくことをアピールした。

Infragistics 開発ツール担当シニアバイスプレジデントのジェイソン・ベレス氏

ソフトウェアカンパニーにならなければ生き残れない

 パートナーとして登壇した日本マイクロソフト 執行役員 デベロッパーエバンジェリズム統括本部長の伊藤かつら氏は、「第四次産業革命と言われるデジタルトランスフォーメーションの時代では、新しいテクノロジーを取り入れ差別化することのできる企業、ソフトウェアカンパニーとしての力を持っている企業が生き残ることができる」と述べた。

 しかし、日本の企業がソフトウェアカンパニーとして生き残れるかについて考えると、「現状は厳しい」と伊藤氏は指摘する。

 「クラウドの時代にお客さまが要求するサービスを提供するためのアジャイル開発やDevOpsの導入は、欧米に比べて難しいという調査結果がある。日本企業の多くはITをSIerに丸投げし、社内にはソフトウェアを開発するエンジニアがいない。これではITを企業の力に変えることはできない。ソフトウェアカンパニーになるには、IT技術者が最も重要な資産。それを正しく認識して育成し、力を発揮できる環境が必要だが、現状では必ずしもそうはなっていない。この問題を解決するアプローチにはいろいろあるが、その中の一つには道具(ツール)に対する投資がある。マイクロソフトでは、IT技術者がその能力を十分に発揮し、どんどん新しいものを作れる世界を目指してVisual Studioの開発を続けている」(伊藤氏)。

 MicrosoftとInfragisticsは、グローバルでは30年、国内においても10年以上という長年のパートナーシップで結ばれている。伊藤氏は両社のパートナーシップについて「グローバルでほぼ最長」と述べ、さらに「マイクロソフトがクロスプラットフォームの世界に乗り出した時も、当社のツールをより強力なものにしてくれる製品を提供いただいたことを、大変感謝している」と締めくくった。

日本マイクロソフト 執行役員 デベロッパーエバンジェリズム統括本部長の伊藤かつら氏

ユーザー事例から見るインフラジスティックのテクノロジー

 また、インフラジスティックスの開発ツールを利用しているユーザー企業を代表し、スーパーストリーム 取締役 企画開発本部長の山田誠氏と、パソナテック システムソリューション事業部 シニアマネージャ kintoneチーム リードの新山良平氏も登壇した。

 人事・会計のERPソリューション「SuperStream」を開発・販売しているスーパーストリームは、最新版の「SuperStream-NX-V2」の開発において、Infragistics UltimateのUIコントロールコンポーネントを利用している。

 山田氏は、「これまでSuperStream-NXのフロント部分(UI)はSivlerLightを使っていたが、SuperStream-NX-V2をWPFでリリースするにあたって、インフラジスティックスのUI/UXコンポーネントを全面的に採用することになった」と説明する。

 SuperStream-NX-V2の開発プロジェクトは2016年初頭に発足し、インフラジスティックスと共同で開発を開始したという。「完成度の高いコンポーネントを採用したことで、大規模なERPパッケージであるにも関わらず、開発プロジェクトの期間が2年から1年半に短縮した」と山田氏は説明している。今後はUltimate UI for Xamarinを採用するなど、インフラジスティックスとさらに開発協業を深化させていく予定であるという。

スーパーストリーム 取締役 企画開発本部長 山田 誠氏

 パソナテックでは、サイボウズが提供するPaaS型の業務システム作成プラットフォーム「kintone」を利用した業務システム導入サービス「むすぶService」を展開している。新山氏は「kintoneは業務システム導入のハードルを大幅に下げるサービスだが、『分析機能が薄い』『UIが画一的』といった点に不足があり、顧客からも問い合わせが多かった」と述べ、「これら課題を解決するためにIgnite UIを採用した」と説明している。

 kintoneとIgnite UIは、いずれもHTML5/jQueryベースにしているため、親和性や生産性は高い。さらに山田氏は、「kintoneとIgnite UIを組み合わせることで、kintone標準のサービスよりも視認性の高いデータ表示が可能になり、パフォーマンスも向上させることができる」と説明した。

パソナテック システムソリューション事業部 シニアマネージャ kintoneチーム リードの新山良平氏