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SAPジャパン、米NVIDIAとの提携を日本国内にも拡大、機械学習を高速化

 SAPジャパン株式会社は5日、米NVIDIAとの戦略的提携による取り組みを日本国内にも拡大し、インテリジェンスソリューションの開発力を強化すると発表した。

 SAPでは、NVIDIAのGPUベースの並列処理能力は、SAPの機械学習アプリケーションの基礎である大規模データセットのトレーニングと深層学習アルゴリズムの性能を飛躍的に高めると説明。1基のNVIDIA GPUの性能は現在10TFLOPSを超え、この技術はすでに、地球に衝突する可能性がある小惑星の発見・回避や、LHC(大型ハドロン衝突型加速器)から送られたデータの分析など、世界の最重要課題を解決するために使用されており、SAPではこれをエンタープライズアプリケーションに取り入れるとしている。

 こうした処理速度の高さが、大規模データセットからの学習能力も高くするとして、それを証明するアプリケーションの1つが「SAP Brand Impact」だと説明。SAP Brand Impactは、企業のブランド露出度を分析するためのアプリケーションで、ソーシャルメディアやその他のソースから収集した大量の画像や動画をスキャンし、企業のロゴやその他のブランド情報を識別する方法を自律的に学習する。プログラミングによる明示的な指示は必要なく、データの量や処理の複雑さを考えた場合、新しい技術がなければこれだけ高度な処理は不可能だとしている。

 また、NVIDIAの深層学習プラットフォーム上でトレーニングと運用を行う機械学習ソリューションはSAP Brand Impactのほかにも、顧客対応を効率化してコストを削減し、顧客満足度を新しいレベルに高める「SAP Service Ticketing」や、経理業務の進化と債務管理プロセスの自動化に向けた「SAP Accounts Payable」などが含まれ、SAPは数年以内に財務関連製品をすべてインテリジェント化する予定としている。

 SAPでは、顧客がデータによって環境の微妙な変化を感じ取り、機械学習によって大量の情報を一度に素早く分析して、アプリケーションによって自動的にインテリジェントな対応をとるというサイクルを実現すると説明。NVIDIAとの提携により、このサイクルのスピードを何百、何千倍に加速するとしている。

 SAPの最優先課題は、そのための先進技術を実用レベルで継続的に提供することだとして、NVIDIAとの提携に代表されるようなオープンなエコシステムを通じて、パートナーが提供する最新技術を積極的に取り込んでいくと説明。機械学習に対応したアプリケーションを、SAP Cloud Platformに埋め込まれたインテリジェントサービスとして順次提供していくとしている。

 また、開発者向けには、ソリューションをインテリジェント化するAPIを提供。近日中に、請求と支払の照合などの業務を対象とする「ビジネスサービスAPI」と、画像の分類や自然言語テキストの要約、時系列データからの将来予測などの低レベルの機能を実行する「機能レベルAPI」の2つのAPIを、SAP API Business Hubで公開する予定としている。