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Preferred Networksとマイクロソフト、ディープラーニングソリューション分野で戦略的協業

 日本マイクロソフト株式会社は23日、株式会社Preferred Networks(以下、PFN)と米Microsoftが、人工知能や深層学習の実社会での活用を推進するため、ディープラーニングソリューション分野において戦略的協業することで合意したと発表した。

 協業により、Microsoft AzureとPFNの深層学習テクノロジーの連携を推進し、各業種業態のビジネス課題を解決する深層学習ソリューションを提供し、協業の日本市場における展開を日本マイクロソフトが支援する。

 両社は協業を通して、テクノロジー、人材育成、マーケティングの3つの軸で連携を進める。

 テクノロジーの面では、2017年夏に、Microsoft AzureのIaaSとPFNの深層学習フレームワーク「Chainer」の親和性を高め、Chainer/ChainerMN(Multi Node)をワンクリックでAzure IaaS上に展開するAzure Templateの提供や、データサイエンスVMへのChainer搭載、Azure Batch ServicesおよびSQL ServerのChainer対応、ChainerのWindows対応などを進める。

 これにより、複雑化するニューラルネットの学習時間の増大、増加し続けるデータの煩雑な管理、絶え間なく技術革新するアルゴリズムへの対応、深層学習を用いたシステム開発の方法論といった、深層学習に関わる技術者の課題の解消を図るとしている。

 また、現在主流であるニューラルネットワークのスクラッチ開発は高度な技術的知識が求められ、必要とされる投資金額も非常に大きくなっていると説明。深層学習の実社会への適用を推進するためにはスクラッチ開発から、標準化されたソリューションへの移行が必須だと説明。これを推進するため、Microsoft Azureのデータ収集分析サービスとPFNの深層学習プラットフォーム「Deep Intelligence in-Motion(DIMo、ダイモ)」を組み合わせ、特定のワークロードや業種向けソリューションを2017年中に提供する。また、そのソリューションを展開するパートナーを両者で支援し育成を行う。

 人材育成の面では、データサイエンス人材の育成に向け両社が連携し、大学の学生、企業内のエンジニア・研究者向けのトレーニングプログラムを2017年中に提供する。また、高等教育機関向けには、政府機関などのデータ関連人材育成プログラムへの参加を検討していく。

 トレーニングプログラムはニューラルネットワークの基礎を学ぶ初級クラスだけではなく、実際に深層学習の実ビジネス事例をテーマに応用方法を学ぶ上級クラスまでを提供。これらのトレーニングを通して、3年間で5万人の人材育成を計画する。また、国際競争力のあるIT人材育成を目的とする世界最大の学生向けのITコンテストであるImagine CupやAzure for Researchなどのプログラムをトレーニングのゴールとして用意する。

 マーケティングの面では、これまでマイクロソフトとPFNが培った深層学習ビジネスの知見および、Microsoft Azure、Chainer、DIMoを活用した実際の成功事例をもとに、2017年夏に各業種に向けたワークショップを開始する。さらに、Chainer、DIMoが提供する最新の深層学習テクノロジーを、強固なAzure基盤上に組み込むことにより、顧客の基幹システムに組み込めるエンタープライズグレードのエンドツーエンドソリューションを2017年中に提供するとしている。

 また、深層学習でビジネス課題を解決したい顧客と、深層学習のコンサルティングや展開を行う企業とのマッチングの場として、コミュニティ“Deep Learning Lab(ディープラーニング・ラボ)”を発足し、6月19日および7月25日に、コミュニティの主旨説明会を開催する。