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富士通、「Office 365」を全世界のグループ社員16万人に導入

自社の導入ノウハウも含めた「ワークスタイル変革」ビジネスを展開

富士通が「Office 365」を全面的に採用

 富士通株式会社は1日、ワークスタイル変革の推進に向け、富士通グループの世界約16万人の従業員を対象として、「Office 365」を全面的に導入すると発表した。2017年3月から順次運用を開始する。

 富士通では、これまでもマイクロソフト製品を中心としたプライベートクラウドベースのグローバルコミュニケーション基盤を導入しており、その社内実践で得た導入に関する知見やノウハウをベースとして、顧客にもワークスタイル変革を支援するソリューションとしてコミュニケーション基盤を提供している。

富士通が実践するグローバルコミュニケーションの進化

 この流れをさらに進めるため、富士通では日本マイクロソフト株式会社と連携を強化。富士通のグローバルコミュニケーション基盤を、プライベートクラウドからパブリッククラウドへの移行に踏み切るとした。

 富士通では、同社のクラウド基盤を中核とするデジタルビジネス・プラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(以下、MetaArc)」と、マイクロソフトの統合型情報共有クラウドサービス「Office 365」、クラウド認証基盤「Azure Active Directory Premium(以下、Azure ADP)」を連携させ、マルチクラウド型に刷新。グローバル約16万人の全従業員に向けて、2017年3月から運用を開始する。

 この取り組みにおける「Office 365」の活用により、富士通は常に最新のコミュニケーションシステムのサービスが利用できるようになり、各部門の業務効率化や変化への対応力を備えたワークスタイルを実現すると説明。例えば、社内向けSNSである「Yammer」を採用することで、グローバルでの部門間のコミュニケーションや知の共有を一層促進するなど、継続的な共創力強化を図っていくとしている。

 また、「Azure ADP」を採用することで、2000を超える他社クラウドサービスとの連携など、マルチクラウド環境でのシングルサインオンや多要素認証を実現。さらに、マシンラーニングを活用した高度なサイバー攻撃検知を実現する機能と、手のひら静脈認証などの富士通独自の生体認証機能と組み合わせることで、より高い利便性と堅牢なセキュリティを実現していくとしている。

 富士通では、今回の日本マイクロソフトとの連携強化により、Office 365とAzure ADPをベースとし、電話とネットワークも統合した新たなサービスによるグローバルコミュニケーションのビジネスを展開。日本を中心としたグローバル市場で2018年度までに年間500億円の売上を目指す。

2018年度までに500億円の売上を目指す

16万人はグローバルでも最大規模の導入

 富士通執行役員常務グローバルマーケティング部門長の阪井洋之氏は、富士通でも社内のワークスタイル変革を進めており、たとえばウェブ会議は全従業員の95%が利用するようになり、年間利用数は130万回に達したと説明。また、社内SNSのコミュニティ数は3600件になり、コミュニティの中から特許出願に至った件数も20件になるなど、成果を挙げているとした。

富士通の阪井洋之氏
ウェブ会議は全従業員の95%が利用
社内SNSのコミュニティ数は3600、その中からの特許出願数も20件に

 こうした取り組みをさらに進めるため、グローバルコミュニケーション基盤をクラウドサービスに移行すると説明。Office 365を採用するとともに、富士通のクラウドサービスとも連携させ、マルチクラウドに刷新することで、利用者の誰もが最新機能を利用でき、認証基盤の統一による使いやすさと安全性を実現するとした。

 また、富士通と日本マイクロソフトでは、企業の経営層に向けたデジタル改革の提案プログラムを共同で展開。浜松町にある富士通の「Fujitsu Digital Transformation Center」と、品川にある日本マイクロソフトの「Microsoft Technology Center」を相互連携し、企業へのデジタル革新の提案やワークショップの開催などを行っていく。

経営層に対するデジタル改革の提案プログラムを共同展開

 日本マイクロソフト代表取締役社長の平野拓也氏は、「Office 365を16万人が導入するのは、グローバルでも最大規模であり、その導入ノウハウも含めて社外に提供していくというのも、とてもインパクトが大きいこと」と説明。また、経営層向けのワークスタイル変革支援サービスにおける連携も行うことで、日本企業のワークスタイル変革をさらに進めていきたいとした。

日本マイクロソフトの平野拓也氏
両者の協業意義