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日本ヒューレット・パッカード、中小規模向けの新たなスケーラブルストレージ
SDS技術とハイブリッドフラッシュにより高機能で低価格を実現
2016年8月26日 06:00
日本ヒューレット・パッカード株式会社は25日、中小規模向けの新たなスケーラブルストレージソリューションとして、次世代エントリーストレージアレイ「HPE StoreVirtual 3200」と、ハイブリッドフラッシュ機能を標準装備したエントリーストレージ「HPE MSA 2042」を同日より発売すると発表した。
今回の新製品は、ソフトウェアディファインドストレージ(SDS)技術とハイブリッドフラッシュのプラットフォームによって、中小規模IT環境のモダナイズを支援する、新たなエントリー向け共有ストレージソリューションとなるもの。これらの製品により、エンタープライズ機能を備えたストレージを、100万円未満の価格帯から提供可能となり、中小規模IT環境が抱えるストレージ課題に対応する。
日本ヒューレット・パッカード 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 ストレージ事業統括本部 事業統括本部長の山口太氏は、新製品の発表にあたり、ストレージ業界の変化について、「現在、ストレージ業界は、ハイエンド製品のニーズが縮小傾向にある一方で、オールフラッシュ製品の台頭が加速している。また、サーバー内蔵型ストレージによるスケールアウトソリューションが急拡大しつつある」と指摘する。
「これらの市場変化は、総合ITベンダーである当社にとっては追い風といえる。すでにエンタープライズストレージのHPE 3PARは、2016年第1四半期でオールフラッシュとハイブリッド製品の比率が約7割に達し、メインストリームになっている。IDCの調査でも、2016年第1四半期、内蔵と外付けを合わせたトータルストレージで、HPEが第1位を獲得した。また、過去2年間のストレージ市場シェアを見ても、HPEだけがシェアを拡大し続けている」と、変革するストレージ業界をリードしていることを強調した。
新製品のターゲットとなるエントリーストレージ市場の動向について、ヒューレット パッカード エンタープライズ アジア太平洋・日本地域 ストレージCTOの高野勝氏は、「中小中堅規模企業におけるIT活用が進み、エントリーストレージ市場は今後も拡大すると見込んでいる。技術的な動きでは、ソフトウェアデファインド技術を活用したハイパーコンバージドの検討が進むとともに、アプリケーション高速化のためフラッシュの導入がさらに加速することが予測される」と説明。「その中で当社は、国内の外付けエントリーストレージ市場で9年連続シェアNo.1をキープしている。また、ハイパーコンバージドの出荷台数はこの2年間で10倍に拡大しており、エントリーストレージにおけるフラッシュ搭載数も対前年比550%と急上昇している。こうした実績を踏まえて、今回、中小規模ITシステムにおけるニーズとストレージソリューションのギャップを解消するべく、新たなエントリー向けスケーラブルストレージとして『HPE StoreVirtual 3200』と『HPE MSA 2042』を投入する」と、新製品をリリースする狙いを述べた。
「HPE StoreVirtual 3200」は、全世界で20万以上の導入実績をもつSDS製品の「HPE StoreVirtual」テクノロジーをベースとした、スケーラブルな次世代ストレージシステム。スケールアップとスケールアウトの2次元のスケールが可能で、将来的な需要に応じて、柔軟に規模を拡張することができる。たとえば、小容量や少し性能を足したいときには、ドライブを追加して、動的に容量・性能をスケールアップ。一方、筐体を超えたワークロードに対応する場合は、ストレージ筐体を追加して、動的に容量・性能をスケールアウトすることが可能だ。なお、スケールアウト機能は、次期リリースでの対応予定となる。
また、SDSの分散テクノロジーをベースにしたネットワークRAID機能やオンラインファームウェアアップグレード機能によって、99.999%の可用性を実現。「ノード障害時には、ノード間冗長ネットワークRAIDにより高い可用性を実現し、業務継続する。メンテナンス時には、オンラインアップグレード機能で業務を継続できる。さらに次期リリースでは、ハードウェアリプレース時の業務継続として、オンラインでのシームレスなハードウェア移行に対応する。これらの業務継続機能は、従来のエントリーストレージにはほとんど搭載されていない」(日本ヒューレット・パッカード ストレージ事業統括本部 ストレージマーケティング本部 カテゴリーマネージャの林正記氏)としている。
管理画面は、「HPE OneView」で提供されるフレームワークを採用しており、直感的なユーザーインターフェイスにより、学習することなく数分以内に導入可能で、専門知識をもたないユーザでも手軽に使用できる。また、「HPE StoreVirtual」およびVSAソフトウェアは、「HPE ProLiant」サーバー、「HPE Hyper Converged 250/380」、「HPE Synergy」にもソリューションとして組み込まれており、これらの製品間でデータをシームレスに連携することが可能。同一のSDSを使用することで、システムワークロードに応じたデータの移動を可能にし、常に最適な環境を実現する。
このほかにも、64ビットのARMテクノロジーベースのコントローラーや、ワイドストライピングやSSD自動階層化といった高速化機能、スナップショット、シンプロビジョニング、レプリケーションなどの高度なストレージデータサービスを備えながら、最小1ボックス(2ノード)99万円からの低コストで、エンタープライズ機能を提供する。
「HPE MSA 2042」は、800GBのSSDを標準搭載し、SSD自動階層化・データ保護機能を含むすべての機能が含まれたソフトウェアライセンスにより、クラス最高レベルの性能とエンタープライズ機能を提供するエントリーストレージ。搭載されたSSDは、リードキャッシュアクセラレータとしても、リード/ライト性能向上のためのSSD自動階層化としても利用可能。SSD自動階層化機能は、ホットデータを自動でSSDに再配置する階層化エンジンを採用しているため、リアルタイムで性能を最適化する。「SSDリードキャッシュとSSD自動階層化によって、標準最大122,000IOPSの高速性を発揮する。SQL Server環境でのIOPSを、HDDのみの場合と比較すると、SSDリードキャッシュ使用で3倍高速化、SSD自動階層化を使用した場合は4.5倍の高速化を実現した」(林氏)という。
標準搭載された最大512のスナップショットと、リモートレプリケーションを使用することで、低コストでデータ保護が可能となり、ビジネス継続性の向上を支援する。これらの設定は、ウィザードによりGUIから容易に設定可能。また、「HPE ProLiant」サーバーのユーザー向けに簡単な操作性を実現しており、「HPE MSA」ファミリーすべての製品で、共通のユーザーインターフェースを提供する。
税別価格は、「HPE StoreVirtual 3200」が99万円から、「HPE MSA 2042」が158万6000円から。なお、本日より、両製品を対象とした、「仮想化導入は今がチャンス!新ストレージスタートダッシュパッケージ」キャンペーンを実施する。このキャンペーンでは、新製品のリリースを記念し、中小規模における最新ストレージ導入を支援するため、すぐに使用できるドライブ込みの構成を低価格で提供する。キャンペーン価格(税別)は、「HPE StoreVirtual 3200」(構成:iSCSI接続 実効2.3TB SAS HDD)が98万円(通常152万9000円)、「HPE MSA 2042」(構成:SAS接続 実効3.6TB SAS HDD+800GB SSD)が149万8000円(通常230万6000円)となる。