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IDCフロンティア、NVIDIAのGPUアクセラレータによるディープラーニング環境をクラウドで提供へ
2016年7月29日 14:39
株式会社IDCフロンティアは28日、「ディープラーニング プラットフォーム」として、米NVIDIAのGPUアクセラレータを採用したGPUコンピューティングのクラウドサービスを2016年第3四半期に、大容量のファイルストレージサービスを同年の第4四半期にそれぞれ提供することを発表した。
IDCフロンティア 代表取締役社長の石田誠司氏は、同社の事業戦略「データ集積地構想」について、「データ爆発によるパラダイムシフトが起きつつある。ITインフラはこのパラダイムシフトを加速させる存在となるべき。単なるサーバーの切り売りではなく、データをマネジメントする真の"データセンター"事業者となる」と述べた。
ITインフラがコモディティ化していく中で、性能や価格は「あたりまえのことになっていく」と述べる石田氏は、これまで同社の優位性としてきたサーバやネットワークの速度、ワンコインから始められるコストパフォーマンス、こだわりのUI/UX、DDoS対策などのセキュリティ性能などを"あたりまえのもの"として再定義。
これまではあたりまえではなかった、ディープラーニングなどの要求に応えられる高い処理能力を持ったコンピューティング、大容量ストレージ、これらをつなぐ高速ネットワークを提供していくという。
IDCフロンティア プラットフォームエンジニアリング部 クラウドグループの菊石謙介氏は、「現状でもIDCフロンティアのクラウド環境でディープラーニングを実践している顧客は存在している。しかしCPUによる処理では、学習に24時間以上かかってしまう」と述べ、強力な処理能力への要望が高まっていることを明らかにした。
ディープラーニングでは、音声、画像、言語などを認識して学習するためニューラルネットワークを多層に構築する必要がある。従来のCPUベースのコンピューティング環境の場合、多くのノードを束ねて処理する必要があり、処理に必要な時間やサーバー環境の構築、それら機器を設置するデータセンターでの排熱や電力消費といった課題があった。
今回、IDCフロンティアが採用を予定しているNVIDIAのTesla GPUアクセラレータには、並列作業を効率よく処理できるよう何千ものコアが搭載されている。IDCフロンティアが実施した演算処理能力の比較実験の結果、IDCFクラウドの最上位タイプ「highio.5XL128」(CPU 40コア 2.5GHz相当)と比較して、20倍の速度で処理が可能になったという。
エヌディビア マーケティング本部 エンタープライズマーケティングマネージャーの佐々木邦暢氏は、「人工知能の学習手法のひとつであるディープラーニングは、人工知能は新たな段階に押し上げた。このディープラーニングを支えているのはGPUであり、NVIDIAは現在人工知能に注力している」と述べた。
佐々木氏はディープラーニングによる画像認識が、2015年にMicrosoftがエラー率4.9%、同年3月には米Googleが4.8%を実現したことを例に挙げ、人間の標準的なエラー率が5%程度であることから、「すでにディープラーニングによる画像認識能力は、人間を超えた成果を上げている」と述べた。
さらに、佐々木氏は「NVIDIAはGPUを提供する以外にも、ディープラーニングSDK、フレームワーク、アプリケーションを提供しており、ディープラーニングプラット フォーム上で展開することが可能」とも述べており、IDCフロンティアのディープラーニング プラットフォーム上で、これらの仕組みを利用できる可能性も高い。
実際にIDCフロンティアのディープラーニング プラットフォームのGPUがどの世代にの製品を採用するのかは明らかにされていないが、佐々木氏は「Pascal世代のGPUであるTESLA P100を、ぜひIDCフロンティアにも採用してもらいたい」と述べ、実際にTESLA P100の実物を披露した。ちなみに、前述したIDCフロンティアの比較実験で20倍の性能を示したGPUアクセラレータはK40とのことなので、TESLA P100の2世代前の製品となる。
GPUアクセラレータによるディープラーニング向けのコンピューティングに加え、ディープラーニング プラットフォームを支える基盤として、IDCフロンティアでは大容量のファイル・ストレージサービスの提供も開始予定となっている。IDCフロンティアのデータセンター内のすべての環境から、簡単にマウントして利用することができるようになるという。
なお、ディープラーニングプラット フォームはIDCFクラウドのメニューとして利用可能で、使用量に対する従量課金となる予定だが、価格や正確な提供開始日などはまだ明らかにされていない。