インタビュー

「7万4000人ものエンジニアの力を使える」、CloudとCrowdで急成長を遂げる米Appirio

ウェインステインCTOと日本法人の藤田代表取締役に聞く

 クラウド・ソリューション・プロバイダーとして急成長を遂げているのが米Appirioである。salesforce.comを中心に、Amazon Web Services、Google Appsにおけるクラウドアプリケーションの実装および拡張、プラットフォーム連携ソリューションを提供する企業として、2006年の設立以来、全世界で多くのクラウド・ソリューションの導入実績を持ち、2012年は、前年比50%以上という大幅な成長を遂げた。日本でも日本郵政や、AIGエジソンへの導入実績がある。

 そして、Appirioの特徴は、全世界約100カ国約7万4000人のクラウド開発者を結んだコミュニティであるCloudSpokesの存在だ。このコミュニティを活用して、品質の高いソリューションを、迅速に提供することができるユニークな体制を整えている。

 米Appirioのグレン・ウェインステインCTOに同社の最新の取り組みを聞くとともに、日本法人であるアピリオの藤田純代表取締役に、日本での事業展開について聞いた。

クラウドを通じたビジネスの変革を支援するのが役割

――最初に、Appirioの概要を教えてください。

米Appirioのグレン・ウェインステインCTO

ウェインステイン氏
 Appirioは、2006年に米国で設立したクラウド・ソリューション・プロバイダーです。クラウドの力を通じて、お客さまのビジネスを変革し、再定義するための支援を行うのが、われわれの企業ミッションとなります。salesforce.comをはじめとするパートナーとの連携によって、上流領域のコンサルティングから、開発、運用までのサービスを提供しています。salesforce.com、Google、Workdayが提供するクラウドアプリケーションやプラットフォームを活用し、営業、サービス、人事、財務、IT組織をクラウド化するお手伝いをしてきました。

藤田氏
 米Appirioは、グレン(=グレン・ウェインステインCTO)を含めた4人で会社をスタートし、この7年間に急成長を遂げました。現在では日米欧で事業を展開し、6カ国で約650人の体制となっています。日本では、2008年から事業をスタートしており、5年を経過しています。

ウェインステイン氏
 日本では、2008年にオフィスを設立した当初から、salesforce.comと、投資を含めた強力なパートナーシップの上で展開しています。Appirioの日本法人は、アジア地域本社としての役割も担っているほか、優秀なスタッフがそろっており、難しいプロジェクトにも取り組むことができる体制が整っています。

 これまでにも、日本郵政やAIGエジソンのプロジェクトといった大きなプロジェクトを日本主導で行ってきた実績がありますし、そのほかにも、金融関係、製薬関係、自動車会社、テレコムでも、日本でプロジェクトを推進した実績があります。業界を問わずに幅広い展開を進めており、なかには、クラウドにはなかなか踏み出さないと見られていた「堅い」企業でも実績が出ています。

――Appirioがいう「クラウド・ソリューション・プロバイダー」には、どういう意味があるのですか。

ウェインステイン氏
 Appirioには、大きく4つの特徴があります。そのひとつひとつが、われわれがいう「クラウド・ソリューション・プロバイダー」の構成要素となります。

 ひとつは「戦略立案」です。具体的にはロードマップの策定ということになりますが、お客さまが、いつ、なにを、どのようにしてクラウド化するのか、そのためにはなにが必要になるのかといったことを提案することができます。2つめには、Oracleをはじめとする既存のオンプレミス環境からクラウドに移行する際に、それに最適化したソリューションパッケージとして「Cloud Enablement Suite」を提供している点です。

 そして、3つめにはクラウド・ソーシャルという呼び方をしていますが、CloudSpokesというグローバルな開発者コミュニティを形成している点です。ここには、すでに約7万4000人のエンジニアが参加しており、参加者は毎月増加しています。顧客から得たプロジェクトのなかから、アジャイル開発の仕組みを活用して、全世界のエンジニアに対して、参加を呼びかけます。このプロジェクトに対して、グローバルから、エンジニアが回答を投稿するのですが、非常に品質が高いものが寄せられています。これらをわれわれの方で管理をして、成果物として納品するといった仕組みであり、当社がクラウド・ソリューション・プロバイダーとしての役割を果たす上で重要な仕組みとなっています。

 そして最後に、クラウドの先駆者として、Sales CloudやServices Cloudなどを活用し、人材管理の側面からソリューション提案を行うとともに、Force.com、Google App Engineなどを活用したカスタムでのクラウドアプリケーションの開発を行い、ニーズにあわせて柔軟な対応を行える点です。両者の比率は、50対50となっています。

コスト削減だけでなく俊敏性を求められる

――そうしたクラウド・ソリューション・プロバイダーを掲げるAppirioの強みはなんでしょうか。ひとことで表現できますか?

ウェインステイン氏
 ひとことでいえば「イノベーション」です。お客さまの業務に目を向けているのがAppirioの特徴だからこそ、そう言い切ることができます。いままでのシステム構築の仕組みだと、どうしてもパッケージやシステムを導入することが目的になりがちです。

 しかし、これはクラウドの特徴でもあり、Appirioの特徴ともいえるものですが、弊社ではコンサルタントが要件、要望を聞き、どのようにして業務を改善し、課題を解決するのかといったところにフォーカスしています。

 顧客と一緒にソリューションを作り上げ、その上で、ベストフィットするテクノロジーを用いるという手法です。テクノロジーが先に来るというものではないのです。クラウドでビジネスを再定義するというのがわれわれの役割であり、ビジネスを変えていくための最適な手法を提案できるわけです。

――クラウド導入を検討しているユーザーが、Appirioに求めているものはなんですか。

ウェインステイン氏
 コスト削減に対する要求はもともと高いものでした。ただ、最近では、アジリティ(俊敏性)を重視するCIOが増加している。従来型ともいえるウォーターホール型のシステム開発では、要件定義に何カ月もかかり、完成したときには、ビジネスのやり方や、テクノロジーも変わっているということがあった。これでは、ビジネス側のニーズには応えられない。

 クラウドはスピードとイノベーションをもたらすことができるものだといえます。また、アジリティの強みを生かして、顧客の要件をプロトタイプとして、形として見せていくことで、業務に追随する形でIT基盤を構築するところにもクラウドの強みが発揮されています。柔軟性を持ったCIOは、だからこそクラウドにフォーカスしているのです。そうしたユーザーニーズの変化を側面から支援できるのがAppirioだといえます。

 私は、CTOの立場とともに、CIOの役割もあります。CIOとしては、100%クラウドで情報システムを運用している立場です。社内には、サーバーを1台も保有していません。これはお客さまにとって進むべき道を示しているといえます。クラウドへ移行する上での道筋と成果をAppirio自らが見せているわけです。私は、お客さまへのアドバイスについても、技術的な観点での知識を持つCTOと、実際にシステムを運用しているCIOの両方の立場から行えるわけです。Appirioは、自社利用、ソリューション提案の両面において、100%クラウドのシステムインテグレータというわけです。

――具体的な事例にはどんなものがありますか。

ウェインステイン氏
 例えば、ニコンでは、営業部門と財務部門との連携において、SAPのデータがよく見えていないという問題があった。解決手法としては、SAPを軸に拡張するという手もあったのですが、SAPは製造業寄りのシステムであり、営業部門では使いにくいものになっていました。そこでSalesforceをフロントエンドに持ってきて、バックエンドでSAPを動かすという使い方を提案しました。これも業務改革のイノベーションの一例です。

 また、Facebookでは、設立当初は、社内でソフトウェアを開発していたのですが、いまではクラウドファーストという考え方を基本としています。今後の開発は、まずはクラウドで検討しようというものです。そのプロジェクトのひとつとして、在庫の管理があります。Salesforceを通じて、在庫の調達、備品調達のトリガーが自動的にかかるようになっています。この基盤もSalesforceで実装していています。

クラウドソーシングのCloudSpokesを活用する

――Appirioの取り組みのなかで見逃すことができないのが、CloudSpokesですね。CloudSpokesはどんな役割を果たしていますか。

ウェインステイン氏
 CloudSpokesは2年前にスタートしたエンジニアのコミュニティで、現在、7万4000人の開発者が参加しています。当社が推進するクラウド導入プロジェクトにおいて、重要な役割を果たしています。

 エンジニアは、それぞれに得意分野があります。CloudSpokesの7万4000人の知恵を借りることで、Appirioが得意とする領域を広げることができ、アイデアも広がっていくことになる。

 さらに、ひとつの問題に対して、さまざまな手法が提案される。提案された回答のすべてが採用されるわけではないですが、ここで選ばれたものは、品質の高いものであり、7万4000人の頭脳を借りているので、スピードの観点でも、高品質という観点でも優れたものであり、しかも安価で、クリエイティブなものが提案できる。現在、われわれのプロジェクトのうち、約2割でCloudSpokesが活用されています。

 われわれも、2年前にCloudSpokesをスタートしたときには、まだ誰も挑戦したことがない仕組みであり、なにが正しいのかといえないまま、手探りの状態で動いていました。しかし、時間がたつに従って、最適な仕組みはなにかということがわかってきた。CloudSpokesでは、エンジニアが投稿したものに対して、ほかのエンジニアが評価をする。それによって優劣がついてくる。お客さまに提示するのは、7万4000人のエンジニアが認め、さらにAppirioが認めたものなのです。

日本法人である株式会社アピリオの藤田純代表取締役

藤田氏
 すべての案件を、CloudSpokesに依頼するわけではありません。CloudSpokesにかけるものと、社内で開発するものに分類しています。ただ、Cloud Enablement Suiteという開発ツールを活用してもらうことで、ひとつのエンジニアリングプロセスのなかで開発が行われます。

ウェインステイン氏
 Cloud Enablement Suiteは、アジャイル開発を前提としたもので、スプリントに基づいて、ストーリーごとに難易度、状況、取り扱う情報などに応じ、社内の担当者に割り当てるか、それともCloudSpokesで実装するかを選ぶようにしています。つまり、スプリントごとに、CloudSpokesが採用される場合、あるいは、われわれが開発するといった場合があります。

魅力的に感じるものをエンジニアに提供する

――どうやってエンジニアの関心を獲得しているのでしょうか。

ウェインステイン氏
 CloudSpokesでは、エンジニアが魅力的に感じるものを提供していることが大きな要素です。例えば、CloudSpokesでは、顧客からの案件を「チャレンジ」としてサイトに掲示します。これまでの経験から、エンジニアはどういうものを好むのか、どんなチャレンジであればエンジニアが興味を持つのかをわかっていますから、そうしたものを「チャレンジ」として提案します。

 また、その一方で、GoogleやHerokuなどを活用し、自社で開発した仕組みをアセット化しています。すでにクラウド領域だけで1000を超えるアセットを有しています。これらをCloudSpokesに対して公開し、利用することができる。ここにも、エンジニアが興味を持ってもらえる要素があるといえます。

――CloudSpokesに7万4000人ものエンジニアが参加している理由はなんですか。

ウェインステイン氏
 それには3つあります。一番大きいのは報酬でしょう。CloudSpokesに参加している優秀なエンジニアは、いわゆる“ローコストカントリー”の方々が多い傾向にあります。なかには本業と同じぐらいの報酬を得ている人もいます。

 また、フリーランスのエンジニアのなかには、企業に勤務しているフルタイムのエンジニアの報酬を、CloudSpokesだけで上回っているという例も出ています。今後、こうしたエンジニアが増えていくのではないでしょうか。

 2つめには、同じ職種のエンジニアからの評価を得られるという点が大きい。これは「バッジ」という仕組みとして展開しているものなのですが、「私はAppirioのコミュニティで、何回案件を取りました」というようなことを示すことができます。

藤田氏
 CloudSpokes上では、いまアクティブなメンバーが何人いて、「チャレンジ」がどれだけアクティブになっており、コンペティションがどけだけあるのかということが公開されており、エンジニアはこれを共有しています。情報は随時アップデートされ、実際に、今月一番稼いだエンジニアの名前や、いくつのチャレンジに勝っているということも表示されます。

 すでに常連という人もいて、評価を得ることを目的にやっている人たちが明らかに増えています。報酬を得ることだけでなく、コミュニティ内でのエンジニア同士の競争が、エンジニア魂に火をつけているようです(笑)。これがCloudSpokesに参加するエンジニアが増えている要因だといえます。

ウェインステイン氏
 そして、最後にエンジニアとして純粋に楽しいという声があります。難しいチャレンジに対して、クラウドをベースにして取り組むことができるというのがCloudSpokesの特徴です。エンジニアとしては、常に新しいものに触れていたいという気持ちがある。それを提供するのがAppirioであり、CloudSpokesです。

 それぞれのエンジニアは、所属している組織では、重要なプロジェクトに携わっているとは思うのですが、会社ごとにやり方が決まっていますし、新たなアプローチに取り組めるわけでもない。楽しさに関しては限界がある。だからこそ、CloudSpokesに参加しているわけです。

――ちなみに、企業に所属しながらCloudSpokesに参加しているエンジニアはどれぐらいいるのですか。

ウェインステイン氏
 たぶん、大半の方々がどこかの組織に所属していると思います。eメールのアドレスのドメインがどこかの会社の名前ということが多いですからね(笑)。こういう人たちは、きっと会社の仕事がつまらなくて、ほかの仕事をやりたいんだと思います。ちなみに、どの会社のドメインが多いかは答えられませんよ(笑)

統合開発プラットフォームのCloud Enablement Suiteを提供

――一方で、Cloud Enablement Suiteの特徴はなんでしょうか。

ウェインステイン氏
 Cloud Enablement Suiteは、CloudSpokesに対しても提供している統合開発プラットフォームです。特徴のひとつが、クラウドマネジメントセンター(CMC)です。これは、品質やイノベーションを管理するもので、スプリントやタスク、デプロイなどの開発全体のスケジュールを管理するものとして提供しています。

 2つめは、クラウドマトリックスです。Salesforceのオルグ、Googleのドメイン、WorkDayのtenantなどに対して、どんな技術を組み込んでいるのか、どんなトレンド、どんなスキーマがあるのかといったことを統計的に分析していくものになります。プロジェクトレポートと照らし合わせることで、今後起こり得るであろう問題などを可視化することもできる。また、クラウドマトリックスはさまざまな観点で使うことができます。クラウドの柔軟性を制限してしまうような作り込みが行われすぎていないか、といったことを事前に察知し、対策できるような情報を得ることもできます。

 3つめは、クラウドアセットライブラリーです。これは先にも触れましたが、すでに1000を超えるアセットを有しています。CMCのなかで、ストーリーを書いて検索をかけると、今回のストーリーに適したものを過去のアセットのなかから拾い出し、CMCに引っ張ってきて、再使用することができる。これによって、開発スピードの観点、および品質面の向上で効果があります。

 つまり、Cloud Enablement Suiteは、CloudSpokesに提供することで、情報やノウハウを蓄積し、それをもとにしたアセット開発を行い、さらにそれを顧客に対して還元できるというサイクルを実現している。いままでのクラウド開発にはなかったものであり、他社にはないものだといえます。

まずは、日本でCloudSpokesを浸透させていきたい

――今後、日本におけるアピリオ展開はどうなりますか。

藤田氏
 米本社同様、Appirioの日本法人が目指す方向も一緒です。日本で事業を開始して以来、クラウドを通じて、IT部門の変化を支援し、ビジネスの俊敏性を高め、強い会社にしていくためのお手伝いをしてきました。

 今後、力を入れたいのはCloudSpokesの浸透です。CloudSpokesによる新たなクラウド・ソリューションへの取り組みは、まだまだ日本では定着していない。これを広げていきたい。

 米国に比べて感じているのは、日本の顧客はどちらかというと保守的であり、クラウドにもなかなか踏み出せない企業が多いという点です。私は、クラウドという仕組み、新たなパラダイムを、企業ITのなかで使わない手はないと考えています。いまわれわれがやらなくてはならないことは、CIO、情報システム部門の責任者に対して、米国で成功した事例や仕組みを紹介し、クラウドは恐れるものではなく、むしろビジネスを変える新たな手法であるということを訴求し、クラウドに対する考え方を変えてもらうエバンジェリストの役割ではないかと考えています。

 昨今では、クラウドファーストという言葉がよく使われています。これを誤解している人が多い。クラウドファーストの意味は、すべてをクラウドに持っていくということではありません。クラウドの先進企業であるFacebookやコカ・コーラ、MOMAは、クラウドファーストを宣言しています。

 しかし、彼らはすべてをクラウドに持っていくことは現実的ではないということはわかっています。彼らが考えているのは、最初に、クラウドテクノロジーを使えるのか、使えないのかを考えるという点です。そうした考え方を日本に紹介していきたい。これがクラウドファーストへのシフトにつながると考えています。

――日本からのCloudSpokesへの参加規模はどのぐらいになっていますか。

藤田氏
 CloudSpokesには100カ国からエンジニアが参加していて、そのなかには日本のエンジニアも参加しているのですが、その数はわかりません。もちろん、日本から参加するエンジニアの数を増やすことは重要な要素ですが、それと並んで、日本から発生するプロジェクトにおいて、CloudSpokesの利用率を高めることも重要です。

 まずは、参加するエンジニアを増やすよりも、仕組み自体を定着させていくことに力を注ぎ、結果として参加するエンジニアの人数が増えればいい。全世界を見渡しても、7万4000人のIT部門を持っている企業というのはどこにもありません。群衆という意味での「クラウド(Crowd)」の力を、開発現場に持ち込んでいくことができる。それを使わない手はないというわけです。

 また、エンジニアにとっても、いままでの閉じた世界での開発ではなく、全世界を相手に武者修行をするといった環境も提供できます。いまは、「チャレンジ」が英語で表記されていることもあり、日本のエンジニアやユーザー企業にとっては、超えなくてはならないハードルはあります。

 ただ、すべてを日本語化することが、日本でのCloudSpokesの浸透にどれだけ寄与するのかはわからない。そこは検討中です。アジアのほかの国でもCloudSpokesは展開していますが、その国の言語には対応していませんし、現時点では、いつまでに日本語化するという時期は設けていません。

――米本社では、日本市場の展開に対して、どんなことを期待していますか。

ウェインステイン氏
 私はAppirio全体の品質レベルを、日本法人が設定したと認識しています。また、日本では、salesforce.comのビジネスが顕著に伸びており、そのパートナーとしての存在感を高めていきたいですね。日本だけでなく、コンサバティブな人は、グローバルに見ても多いものです。

 これまで大きな情報システムへの投資しているのにもかかわらず、それを、すぐにやめて、作り直す(リップ&リプレース)というのはナンセンスです。いままでやってきたものを生かしながら、少しずつやり方や考え方を変えていくという提案をしていきたいですね。

 日本の顧客はクラウドに強い関心を持っていることは理解しています。きっかけがあれば、今後、日本のクラウドビジネスはもっと急速な勢いで成長すると考えています。

藤田氏
 クラウドの普及には日米で時差があります。米国でのクラウド市場が立ち上がってから、若干のタイムラグがあって日本で市場が立ち上がっている。それは、われわれにとってのアドバンテージだといえます。

 Appirioが米国で聞いたこと、学んだことは、日本の顧客にも適用できる。成功事例だけでなく、失敗事例からも学ぶことができるからです。誰かが渡ってくれた橋を渡るわけですから、日本の顧客にとっても安心につながる。

 クラウドの導入スピードは、今後、加速度的にあがっていくことになるでしょう。そのときに、クラウド・ソリューションの先駆者であり、ほかのところで試された技術やノウハウを蓄積していることが、Appirioの強みになると考えています。先ごろ、本社を移転しましたし、事業の拡張にあわせて増員も図っていきたいですね。

大河原 克行