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エージェントレスで消費電力を可視化する「Cisco EnergyWise Management」

電力削減コンサルティングの無償キャンペーンを実施中

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は、IT機器の消費電力を可視化し省電力につなげるソリューション「Cisco EnergyWise Management」をリリースしているが、今回のInterop Tokyo 2014でも展示コーナーが設けられていた。同社では、このソリューションを活用した無償のお試しキャンペーン「電力削減コンサルティングキャンペーン」を8月15日まで実施しており、申し込みを受け付けている

エージェントレスで“何でも可視化”

EnergyWise Managementのダッシュボード画面

 EnergyWise Managementは、オフィス内やデータセンターにあるPC、サーバー、プリンタ、ネットワーク機器の電力消費量を監視、可視化するソリューション。もともとはJouleXが販売していたソフトウェアで、2013年7月に米Ciscoが買収、統合を行った。

 製品の最大の特徴は、エージェントレスであること。ソフトウェアを監視サーバーにインストールしておけば、そのサーバーと同じネットワークにある機器の消費電力を測定してくれる。各機器にエージェントソフトをインストールすることなく利用できるので、PCやサーバーだけでなく、スイッチやルータといったネットワーク機器など、エージェントを導入することが難しい機器のデータも、測定・管理することができるのだ。

 全データは、ダッシュボードから詳細に閲覧可能。閲覧できるレポートは70種類にものぼっており、曜日/時間ごとの消費電力比較や、時間帯別の消費電力といった代表的なものから、稼働率の低いサーバーの抽出、モデル比較による削減シミュレーションなど、さまざまなレポートを出すことができる。

 IT機器の実測データということで、PCやサーバーのCPU使用率をモニタリングし、使用率が低いものについては低電力モードでの利用を、CPU利用率が高いものについては通常モードでの利用を促すといった使い方も可能となる。

 また、データセンターのような電力使用量が多い場合、消費電力のしきい値を超えた場合、管理者にメールを送ったり、運用管理システムにSNMPトラップ送信、スクリプトで任意の処理を実行するといったアラート用に利用することも可能だ。

70種類ものレポートを表示できるので、さまざまな角度から状況を確認できる点が強み

 こうした専門的な使い方だけでなく、一部分のデータをウィジェットとして切り出し、社内ポータルに張り付けて社内全体で状況を共有することもできる。

 実際にPCの電源のオン、オフを徹底するだけで電力消費効果が高いが、最近ではIPフォンなど機器の電源を、夜間や休日にはスリープモードで運用するにより消費電力削減につなげる、といったケースも出てきているという。

 実際の導入事例としては、従業数6000人規模の運送業で導入したところ、導入前に比べ26%の消費電力削減を実現。全社で進めていたCO2排出量削減につなげることにも成功した。「ほかにも、CSRの一環として消費電力削減に取り組む企業などの反応が良い。新しい消費電力削減につながる対象として、IT機器を管理したいと考えている企業にとっては評価されている」(シスコ アドバンスドサービスグループ エナジーワイズスイート サービスセールスソリューションスペシャリストの五嶋和仁氏)という。

 また、フリーアドレスのオフィスでは、誰が明かりを切るのかといった責任が明確化しにくい。そこでデータを参照し、特定時間以上、電力が使われていない場合はセンター側から消灯するといった使い方もできる。「LED照明に対して、シスコのスイッチに搭載されたPoE機能を利用して給電しておき、IT部門がセンター側から明かりのオン/オフを行うといった使い方が可能になった」。

 参考価格は、PCは1台あたり800円、PC以外のIT機器は1台あたり300円程度で、ボリュームディスカウントも提供される。

特定のパーツをウィジェットとして切り出せるので、社内ポータルに張り付けて共有する、といったことも可能
PoEスイッチとあわせて使うことにより、PoE給電のLED電源を制御する、といったことも可能

効果を実感してから導入を検討できるキャンペーン

展示ブースでデモを行う、シスコ アドバンスドサービスグループ エナジーワイズスイート サービスセールスソリューションスペシャリストの五嶋和仁氏

 今回のキャンペーンでは、「実際の収集データを見てもらうことで、導入効果を実感してもらい、社内稟議(りんぎ)を通す際の参考にしてもらえれば」(五嶋氏)と、EnergyWise Managementを導入するきっかけとして利用してもらうことを狙っている。

 具体的には、管理対象機器台数が500台以上の企業を対象に、1拠点、1ネットワーク、50台までのIT機器に関する消費電力の可視化を、最初に2週間行う。そして、その結果をもとに制御ポリシーを設定。ポリシー設定後、さらに2週間監視を行ってポリシー設定前・後の結果を比較し、電力削減効果の試算とROI計算を実施する。

 このようにROIを前面に押し出すことで、企業にとっては具体的な投資対効果を図れることから、効果が見られるのであれば、積極的に導入を検討する材料になる。このように、価値を実感してから導入を考えられるのが、このソリューションとキャンペーンのメリットだ。

 通常、企業の電力削減を担当するのは総務部門などが多いが、この製品に関しては対象がIT機器であることから、IT部門がデータの収集・管理を行うケースが多い。「専門知識がない総務部門などが担当すると、節電をしてよい機器の判断が難しいことから、IT部門で適切な知識のもと電力消費量をコントロールし、さらに総務部門と協力して、全社的な消費電力削減に結びつけることが適している。今回のキャンペーンがきっかけとなり、総務部門とIT部門が連携して電力消費量削減に取り組むお手伝いができればと考えている」(五嶋氏)。

 なおシスコでは、将来的にはサーバーへのインストールではなく、クラウドベースを行い、「クラウド化が実現すれば、規模の小さい企業への導入なども可能となり、全社的に進めている事業のサービス化戦略とも合致している」と今後はサービスとしての提供を計画している。

三浦 優子