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「ビジネスの構造変化はあちこちで起こっている」~富士通・山本正已社長 (ヒューマンセントリックなパラダイムが起こり始めている)

富士通フォーラム基調講演レポート

ヒューマンセントリックなパラダイムが起こり始めている

富士通の松本端午執行役員常務

 一方、富士通の松本端午執行役員常務は、「新たな産業革命と富士通のバリューチェーン」として講演を行った。

 松本執行役員常務は、あらゆるものがネットワークでつながる「ハイパーコネクテッドの時代が訪れている」とし、「これは、社会やビジネスに大きな地核変動を起こすことになる。新たな産業革命のときが訪れている」と定義。「ここでは、技術そのものの優劣だけでなく、人の知恵や創造性が問われるようになる。人がICTをどう使うかが鍵。富士通は、ここにこだわっていく」と述べ、人を中心としたイノベーションに取り組む姿勢をあらためて強調した。

 また、「情報が媒介となり、産業を超え、これまでにない大きな価値が生まれることで、ヒューマンセントリックなパラダイムが起こり始める。ここでは、効率性よりも創造性、プロセスや性的な安定性よりも、自律性や動的であることが求められ、固有の企業のなかで閉じるのではなく、世の中と関係しあったオープンイノベーションへのシフトが起こることになる。同時にICTの役割も変化し、従来は生産性向上やコスト削減が目的であったが、これに加えて、人のエンパワーメント、商品やサービスの価値向上、ビジネスモデル変革を担うことになる」としたほか、「これまでは、重要な経営資源はヒト、モノ、カネといわれたが、これからは人、情報、インフラが重要な経営資源であると考えている。そこでは、人間の持つ創造性をどう発揮するのかが重要になる」という点を指摘。

 「ヒューマン・エンパワーメント」、「クリエイティブ・インテリジェンス」、「コネクテッド・インフラストラクチャー」という3つを挙げ、「これらを通じて、ヒューマンセントリック・イノベーションを起こし、新たな価値を世の中に創造し続けることができる」とした。

ヒューマンセントリックなパラダイムと従来のパラダイムの違い
イノベーションを生み出す3つの経営資源

 さらに、松本執行役員常務は、「お客さまのために富士通ができること」として、ビジネスイノベーションとソーシャルイノベーションの観点から説明。ビジネスイノベーションの事例としては、ものづくり革新、マーケティング変革といった事例を紹介した。

 一方のソーシャルイノベーションでは、食・農業への取り組み、健康・医療分野でのクラウド活用、交通・車分野での位置情報サービスの活用について触れながら、「これだけの広い範囲をカバーして、インテグレートできるICTベンダーは、世界でも数えるほどしかいない。進化するポートフォリオをグローバルにワンストップで提供するのが富士通の使命である」とした。

 また、ウェアラブルデバイスによる「モビリティ」、業界を超えた接続を実現する「クラウド」、複数のデータセンターが融合し自律的に稼働させるための「統合コンピューティング基盤とSDCI」、サイバー攻撃などの脅威に対応する「セキュリティ」をあげ、「世界最先端の技術を活用した製品を提供しつづける」とした。

 最後に松本執行役員常務は、「イノベーション実現の可能性や手段を示したり、システムを提供するだけではなく、お客さまの収益性や効率化、現状の課題解決にともに取り組む。さらに3つの新たな経営資源を生かし、新たな価値を生み出し、ヒューマンセントリック・イノベーションに真剣に取り組み、安全で、豊かで、持続可能なヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティを実現する。これをお客さまとの約束として、shaping tommorow with youという言葉に込めている」と語った。

実現のためのテクノロジーとサービス

大河原 克行