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SAPの技術で実現する近未来の世界~Mobile World Congress 2014レポート

 2月27日までスペインのバルセロナにて開催された、世界最大のモバイル関連イベント「Mobile World Congress 2014」にて、大きなブースを構えていたSAP。エンタープライズ向けソフトウェア事業を中心に展開する同社だが、世界各国のモバイル関連企業に引けを取らないほどのブースの規模だ。

 そこには、同社が提供する近未来の世界が広がっていた。同社のブースツアーから見えてきた新たな可能性をここで紹介したい。

Mobile World Congress 2014のSAPブース

スポーツに活用されるセンサー分析技術

 SAPではここ数年スポーツ業界に注力しており、ブースでは実際にスポーツチームで活用されている技術のデモを披露していた。

 独ホッフェンハイム(サッカーチーム)のユースチームでは、練習中の選手とボールにセンサーをつけ、より効率的な練習を実現している。センサーからは、位置情報はもちろん、各選手がボールをキープしている時間、ドリブルの開始地点、得点するまでの時間といったさまざまな情報が収集でき、高速インメモリデータベース「SAP HANA」によって各選手のパフォーマンスがリアルタイムに分析されている。その分析結果から、無駄な動きがないかを把握したり、選手ごとに異なるトレーニングメニューを用意したりできるのだ。

 実際の試合で選手にセンサーを付けることは許されていないが、カメラにてユニフォームの番号を読み取ることで、各選手の動きや成績をチェックできるという。選手がどこにいてどれだけの範囲をカバーしているか、ゴール時にすきがなかったかどうかもチェックできるようになっている。

カメラで選手を識別し、パフォーマンスを分析する

 スポーツチームのファンサービスにもSAPの技術が生かされている。ファン向けのアプリでは、ファンがゲームの内容をチェックできることはもちろん、アプリを通じて食べ物をオーダーすることも可能だという。これにより、ファンの食べ物の好みが把握でき、シーズンチケットを保有する優良顧客には好みの飲み物の割引券を発行する、といったサービスも提供できる。

 SAPの技術が使われているファン向けアプリの詳細は明かせないとしているが、全米プロフットボールリーグ(NFL)を舞台とした「Fantasy Football」でも、SAPの技術が採用されているという。

リアルタイムに工事現場の危険を回避

 クレーンを使った工事現場でもSAPの技術が活躍している。ドバイSK Solutionとの共同開発により、クレーンの衝突回避システムにHANAが組み込まれ、リアルタイムで危険を回避できるようになったのだ。

 クレーンにはセンサーが取り付けられており、場所や動きをHANAが解析する。衝突のリスクがある場合は、警告したり自動で動きが止まったりするようになっているのだ。現場監督は、HANAクラウドをベースとしたモバイルアプリでクレーンの動きをリアルタイムに監視でき、クレーン同士の距離や荷の重さ、動きの速さなどから衝突リスクを数値で見極めることが可能という。

ミニチュアで再現された工事現場と衝突回避システム
衝突回避システムの管理画面

(沙倉 芽生)