米salesforce.com、米でDreamforce 2010を開催

基調講演でクラウド時代の新データベース「Database.com」を発表


サンフランシスコのモスコーニセンターにおいて開催されている「Dreamforce 2010」

 米salesforce.comは、12月7日(米国時間)から、カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニセンターにおいて、プライベートイベント「Dreamforce 2010」を開催した。

 8回目となる今回は、60カ国から約3万人が事前登録。初日の基調講演には1万4500人が参加した。また、325にわたるブレイクアウトセッションではsalesforce.comの製品チームやユーザー企業などから700人以上がスピーカーを務めるなど、「最大規模のクラウドコンピューティングイベント」(salesforce.comのマーク・ベニオフ会長兼CEO)にふさわしい内容となった。

 例年、このイベントにおいては、同社の最新技術、製品が発表されている。2005年のAppExchangeを皮切りに、2006年から2008年にかけてはApex、Visualforce、Force.comなどの製品発表が続いており、2009年にはChatterを発表。今年も、同社会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏による基調講演では、大きな発表が予定されていると開催前から注目が集まっていた。

 また、米国元大統領であるビル・クリントン氏による基調講演、スティービー・ワンダー氏を迎えた記念イベントが開催される予定で、さらに、Chatterを利用したイベント参加者用のポータルを用意し、参加者同士がコミュニケーションを図れるようにしているのも特徴だ。

 

基調講演では“データベースの進化”Database.comを発表、Spring'11のデモも

基調講演を行う米salesforce.comのマーク・ベニオフ会長兼CEO

 初日の午前9時から行われた同社会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏による基調講演では、前評判通り、新たな製品として、Database.comの概要が明らかにされたほか、2011年1月にリリース予定の「Spring'11」の新機能などを、デモンストレーションを交えながら紹介した。

 ベニオフ氏は、「われわれは新たな扉を開かなくてはならない。Database.comは、世界で最初のクラウドのためのデータベースになる」と位置づけるとともに、「私は25年間にわたってデータベースに関与してきたが、アプリケーション、プラットフォーム、コミュニケーションと同じように、いつかはデータベースもクラウドに入れなくてはならないと思ってきた。これからは、Sales Cloud、Service Cloud、Salesforce Chatter Collaboration Cloud、Jigsaw Data Cloud、Force.com Platform Cloudに、Database.comを加えた6つのクラウドで展開していくことになる」とした。

ベニオフ氏は、壇上から会場に降りて、新製品などに対する熱い思いを来場者に伝えた広い基調講演の会場は満員の状況。1万8000人が参加したという
従来のデータベースとDatabase.comとの比較

 米salesforce.comの技術担当エグゼクティブバイスプレジデントのスティーブ・フィッシャー氏は、「Database.comは、過去30年間にわたって使われてきたデータベースの、初めての進化となる。クラウドの世界では、昔のやり方は通用しない。アプリケーション単位ではなく、ユーティリティ型にあったものであり、どんな言語でも、どんなデバイスでも利用できるものでなくてはならない。また、セールスフォースの18万のアプリケーションに対応したデータベースでなくてはならない。Database.comは、チューニング、バックアップ、アップデートを自動的に行い、マルチテナントにも対応した、クラウドに適したデータベースとして、根本から作り変えたものである」とした。

False Cloudのプレゼンテーション資料では、オラクルのExadataを引き合いに出していた

 さらに、ベニオフ氏は、10月に日本で行われた「Cloudforce 2010 Japan」での講演内容を一部踏襲しながら、「世の中には、False Cloudという偽物のクラウドがある。効率が悪く、ソフトウェアの民主化を行わず、経済性が低い。こうしたクラウドにはだまされないでほしい」などとした。

 また、新たなForce.comについても言及し、「もっとオープンにしてほしいという声があり、それに対応した。詳細については2日目のセッションで明らかにする」などとしたが、「13の新機能を追加し、もっと早く、安価に、シンプルに、アプリケーションを開発できる環境を提供するのが目標である」とした。

 提供開始から6カ月間で、6万社の利用者に達したChatterについては、「私は、Chatterを企業で使えるようにするためにはどうしたらいいのか、という質問を受ける。そこで新たなプロダクトとして、Chatter Freeを提供する。これはChatterを無料で提供するものであり、さまざまな部門の壁を越え、全社で使えるようになる」などとして、無料化を発表。さらに、ベニオフ氏は、「私が考えていたのは、どうしたらすべての人にChatterを利用してもらえるのかということ。その結論として、2011年2月に新たなサービスを開始する。これは、Chatter.comと呼ばれるものであり、Chatter.comを通じてSalesforceのユーザー以外もChatterを利用できるようになる」とした。

前総務大臣の原口一博氏もDreamforce 2010に参加。VIP LUNCHではベニオフ氏にコメントを求められ、クラウドの重要性に言及した

 基調講演では、ゲストとして、パートナーであるSymantecのエンリケ・セーラムCEOや、全世界10万人の社員がChatterを利用しているDellのジョン・マイルズ バイスプレジデント、最初のChatterユーザーでもあるMotorolaのIT部門シニアディレクターであるソニア・サリバン氏が登壇し、salesforce.comが提供する各種製品、技術のメリットなどを訴求した。

 最後にベニオフ氏は、2日目の基調講演では、さらに2つのクラウドを発表すると宣言し、初日の基調講演を終えた。

展示会場では、新製品をはじめとしたセールスフォースの製品を一堂に展示パートナー企業の展示ブースも盛況だった
関連情報