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「もう一度世界を変えたい」――、パット・ゲルシンガーCEOが導くVMwareの“次の一手”

Dell EMC World 2017基調講演レポート

もう一度世界を変えていきたい

 ゲルシンガーCEOが、最後にゲストとして壇上に招いたのが、Pivotalのビル・クックプレジデント兼COOである。

Pivotalのビル・クックプレジデント兼COO(右)

 ゲルシンガーCEOがIntel在籍時に、クックプレジデントがSun Microsystemsに在籍しており、面識があったこと、その後、クックプレジデントはGreenplumに移籍したが、EMCがGreenplumを買収する際には、ゲルシンガーCEOがその作業にかかわったことを紹介。「すでに30年のつき合いになる。クックプレジデントは、私を遠ざけることはできないようだ」とジョークを飛ばした。

 クックプレジデントは、「Pivotalが誕生した背景には、クラウドネイティブへの対応が求められてきた点にある。価値を高めるためには、サイクルを速め、開発から本番環境にいち早く移行させるための手段が求められていた。それは、クラウドネイティブへの取り組みが、コストの問題ではなく、価値の問題として注目されてきたことにも影響している。Pivotalがフォーチュン100社の企業に多くに採用されている理由もそこにある。GEはIoTの領域において、Pivotalを活用。Fordは自動運転のビジネスに向けて採用している。ITの観点から、新たな世界でビジネスの価値の提供を促進できる」などとした。

 ゲルシンガーCEOは、「PivotalはPaaSのリーダーである。VMwareと協力し、このほど、デペロッパー用のインフラを用意した」と切り出し、「コンテナのワークロードを、本番環境に簡単に入れられないという課題があり、それを解決するのが、Pivotal Cloud Foundryと、VMware NSXを組み合わせたDeveloper Ready Infrastructureになる。世界で最もパワフルな、デベロッパーのためのマイクロサービスプラットフォームであるCloud Foundryとの組み合わせによって、デプロイメントを簡単にし、テスト環境と本番環境の世界をひとつにすることができる」とした。

 またクックプレジデントは、「VMwareは、インフラの自動化で貢献し、Pivotalはデベロッパーやアプリの観点からの貢献ができる。Pivotal Cloud Foundryではプラットフォームの自動化を行い、100倍以上の効率化をあげることができ、運用コストは50%も削減できるようになる。ソフトウェアのデプロイメントは2000倍のスピードに改善できる。タイム・トゥ・バリューを実現できる」などと説明。

 「Pivotal Cloud FoundryとNSXをひとつにしようというアイデアは、顧客からもらったものである。縦割りのオペレーションが一般化しているなかで、デベロッパーとITを運用する組織をひとつにするのは大変である。さらにネットワークの組織が入るとさらに複雑化する。このチームをどうやってひとつにすることができるかが、ビジネスの価値の最大化につながる。これを実現するのが、Developer Ready Infrastructureということになる。顧客はネットワークとセキュリティが担保されたアプリケーション環境を求めている。マイクロサービスのアーキテクチャを提供し、アプリの俊敏性を提供し、セキュリティを提供できる。非常に強力なものになる」と述べた。

 一方で、クックプレジデントは、「いまは大きなゲームチェンジの時期である。みなさんは、ぜひ、この変化を受け入れてほしい」と呼びかけた。

 最後にゲルシンガーCEOは、「いまは、テクノロジーがテクノロジーを破壊する時代になっている。あらゆるビジネスが新たな形になっている。そこには新たなインフラが必要であり、新たなサービス、セキュリティが求められる。デバイスはあらゆるところで活用され、ソリューションが世界を変えている。これはチャンスの時である。私はIntelに入社した初日のようにワクワクしている。もう一度世界を変えていきたい」と語り、講演を締めくくった。