仮想化道場

ワークロードに最適化されたComputeを提供、ProLiant Gen9の1Uモデル「DL360」を試す

DL360 Gen9の特徴は

 DL360 Gen9は、Intel Xeon E5-2600 v3シリーズを2ソケット搭載している。1Uサーバーでありながら、TDPが160Wのプロセッサにも対応。現在、もっともCPUコア数の多いXeon E5-2699 v3(2.3GHz、TDP145W)を使用すれば、36コア/64スレッド(18コア×2プロセッサ)という高いパフォーマンスが実現する。

 1Uサーバーといえば拡張性に難があると思われがちだが、搭載できるメモリは、2UのDL380 Gen9、4UのML350 Gen9と変わらず、DDR4メモリが最大24本挿せる。これにより、最大768GBの大容量メモリ空間を持つサーバーとなっている。

 DDR4メモリを採用することで、省電力化とともに、メモリのパフォーマンスが大幅に引き上げられている。

 拡張カードスロットも、フルハイト/ハーフレングスのPCIe Gen3×16が1本、ロープロファイル/ハーフレングスのPCIe Gen3×8が1本と、1Uサーバーにしては、拡張I/Oが充実している点も特徴だ。

 さらに、ネットワークにはFlexFabric LOMを使うことで、PCIeスロットを使わずに、10GbEネットワークなどが利用でき、ストレージインターフェイスに関しても、ボード上にHPのSmartアレイコントローラを内蔵しているため、PCIeを使用しない。

ストレージインターフェイスとしては、12Gbps SAS対応のSmartStorageをオンボードでサポート。ネットワークはFlexFabric LOMにより、PCIeスロットを使用しなくても、高性能なネットワークがサポートできる

 DL360 Gen9はモデルによって搭載できるディスクの最大数が変わるが、もっとも搭載可能なモデルでは、2.5インチディスクを最大10台搭載できる。

 またHPのSmartアレイには、SSDをHDDキャッシュにするSmartCache機能が用意されている。これを使用すれば、HDDを使って、データベースなどディスクに負荷のかかるアプリケーションを利用する場合でも、高いパフォーマンスが期待できる。

 ただ残念だったのは、NVMe接続の高速SSDに対応していないことだ。SSDは、12Gbps SASや6Gbps SATA接続になるため、フラッシュメモリの高いパフォーマンスを最大限発揮することはできない。NVMe搭載のサーバーに関してはHPでも計画されているため、2015年中には発表されるだろう。

 なお、高密度サーバーにおいて大きな問題になるのが、動作温度だ。ProLiant Gen9では、45度での動作を保証するASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)の環境基準A3に対応している。45度での動作が保証されたことで、データセンターが冷却にかけるコストを20%ほど省電力化できる。

ASHRAEのA4準拠により、45度での動作が保証されている。冷却にかけるコストを節約できるため、データセンターやサーバールームの運用コストも下げられる

 このほか、iLOの性能アップ、小型のパワーユニットの採用(シャーシに占める面積が減り、サーバー内部のスペースが広がった)など、CPUやメモリ以外のハードウェアも機能が向上している。

 ソフトウェア面でも、分散型の仮想ストレージシステムHP StoreVirtual VSAの1TBライセンスが標準で添付している。さらに、クラウドや仮想化など多数のサーバーを運用するデータセンターにおいて、システム導入/運用・管理/更新までを一括して管理するHP OneViewも、Gen9に対応している。

Gen9のiLOは、より高い自働化を実現するために機能アップしている。また、管理ツールのHP OneViewとの連携も強化されている。One Viewは、Hp CloudSystemやOpenStackと連携できるようにRESTful APIが用意されている
iLOはGen9の自働化サーバーの要。システムデプロイはGen8に比べると高速化されている
Gen9のiLOは、セットアップなども日本語で行える
ヘルプに関しては、右隅に表示されているQRコードをスマホなどで読み込めば、ヘルプを読むこともできる
Gen8と同じくOSのセットアップも非常に簡単に行える。ネットに接続されていれば、必要なドライバも自動的に取得してインストールしてくれる
HP OneViewは、ProLiantの運用・管理だけでなく、HP 3PARなど、さまざまなHP製品の管理・運用、各OSやハイパーバイザーやクラウド構築ソフトとの連携を重視している

(山本 雅史)