大河原克行のキーマンウォッチ

「New BlueとMore Blueの獲得でさらなる成長を」~日本IBMマーティン・イェッター社長

 2012年5月15日に、日本IBMの社長にマーティン・イェッター氏が就任してから、2年以上が経過した。この間、日本IBMの業績は右肩上がりへと回復。現在、6四半期連続での成長を遂げているという。

 全国4カ所に支社を配置し、地域密着型のビジネスを強化。さらに、CAMS(クラウド、アナリティクス、モバイル、ソーシャル、セキュリティ)といった新たな領域における人材育成にも着手。製品ポートフォリオの拡充にあわせて、これら事業を拡大している。

 そしてイェッター社長は、ここにきて「New Blue」「More Blue」といった言葉を使い、新たな領域に向けたビジネス拡大と成長戦略にも力を注いでいる。そのイェッター社長に、日本IBMの今と未来について聞いた。

成功に導いた3つの変化

――社長就任から2年を経過しました。この間、日本IBMはなにが変わったのでしょうか。そしてその変化をどう自己評価していますか。

日本IBMのマーティン・イェッター社長

 私は、今の日本IBMのチームに対して大きな誇りを持っています。成果のひとつとして、ビジネス上の実績をあげることができるでしょう。今、日本IBMは6四半期連続での成長を遂げています。これは際立った成果のひとつであり、社員が大変な努力をした結果であるといえます。そして、全世界のIBMのリソースを活用した成果であるという点も見逃せません。

 この2年間にわたって、日本IBMは、3つの大きな変化に取り組んできました。ひとつは、2012年下期から敷いた新たな体制です。ビジネスチャンスはどこにあるのか、といったことを的確にとらえ、その戦略の上で地域支社制度を導入しました。西日本、関西、中部、東北の4拠点における支社体制を実現し、市場に対して、よりきめ細かく対応することにしました。また、25のエンタープライズビジネスユニットを導入し、市場をカバーするといった取り組みも行いました。

 2つめには、IT市場全体のなかで、高い成長が期待できる領域にリソースを投入したという点です。フォーカスした領域は、クラウド、アナリティクス、モバイル、ソーシャル、セキュリティの頭文字で構成されるCAMSです。Sについては、2つの意味がありますね。これらの分野に向けて、ツールを活用して新たな見込み客を獲得し、そこにアプローチするといったことを行っています。

 3つめは、成長領域に向けた人材の確保です。外部から専門知識を持った人材を獲得するとともに、トレーニングによって、成長領域に向けた体制を強化しました。クラウドおよびモバイルを活用した新たな研修手法を導入することで、最初は1500人を対象に教育を実施。昨年夏にはさらに4500人を対象に実施。そして、今年に入ってからも4500人に教育を施し、累計で1万500人規模の教育が完了しています。さらに、毎週金曜日には事業部ごとにトレーニングを行うといった仕組みも導入しました。人材教育への投資は、1000万ドル規模になっていますし、2015年4月までに、新卒者を含めて、日本IBMグループ全体で600~800人の人員採用を進める予定です。

 このように、「体制」、「コンテンツ」、「人材」といった面で、日本IBMには変化があったといえます。

(大河原 克行)