「情報分析」と「行動」を直結させるBI
Part 3:次世代BIを支える5つの技術トレンド
■次世代BIを支える5つの技術トレンド
BIの世界は数年前、メガベンダーによる大手BIベンダーの買収というビジネス的な大変動の時期を経た。その後、各社における製品統合やポートフォリオの再編が進み、いったん落ち着くかに見えたBIの世界だが、ここへ来て技術面における大きな転機を迎えつつある。
1990年代後半、ITアーキテクチャが C/S型から3層型に移行したことは、BIシステムに大きな影響を及ぼした。C/S時代、BIの活用は社内の一部パワーユーザーにとどまっていた。しかし、インターネットの登場により3層型のITアーキテクチャが主流になると、状況は一変した。それまでは潜在的でしかなかった、「パワーユーザー以外のすべての企業内ユーザーにBIシステムの利用を拡大する」というニーズが、現実的になったのだ。
2011年、このとき以来の技術革新がBIを次のステージに導こうとしている。具体的には、「DWHアプライアンス」「OSS(オープン・ソース・ソフトウェア)」「オンメモリーDB」「データマイニング」「クラウド」である。以下で詳しく見ていこう。
■DWHアプライアンスとBI~性能向上に2つのアプローチ
BIに大きな影響を与えている第1の技術は、DWHアプライアンスだ。DWHアプライアンスとは、ハードウェアとソフトウェアを一体化し、DWH用途向けに機能・性能を最適化した製品を指す。
DWHアプライアンスは、製品の構成によって大きく2つに分類できる。1つは、汎用的なRDBを特定のハードウェアと組み合わせ、DWH用途にチューニングして提供する製品だ。「Oracle Exadata」を例に、その仕組みを見てみよう。
DWHの性能を低下させる大きな原因の1つに、RDBとストレージ間におけるデータ転送量の増大がある。これを軽減するため、Exadataでは通常はRDBで実行される検索処理の一部を、ストレージ内で実行する。具体的には、テーブルの全件走査や結合など、大量のデータを対象とする処理だ。これにより、ストレージとRDB間でやりとりするデータ量が減少するため、DWHの性能低下を防げる。
DWHアプライアンスのもう1つのタイプは、ハードウェアだけでなく、RDB自体の機能そのものもDWH用途に限定した製品である。その代表例が、「Netezza TwinFin」だ。同製品を構成するのは、DWH専用の計算処理カードを搭載したブレードサーバー機(ストレージ・ユニット)とRDBである。これらはいずれも、DWH以外の用途での利用は考慮されていない。
NetezzaのRDBでは、テーブルに与えられた「分散キー」と呼ぶカラムの値によって、各サーバーに負荷が均等に分散するようにレコードが配置される。従って、多数のレコードを持つテーブルへのアクセスであっても、レコードの配置が適切であれば、サーバーの数に応じて並列処理を多重化できる。こうした仕組みにより、汎用的なRDBよりはるかに高速にクエリーを実行できる。