実用期迎えたクライアント仮想化~PART03
システム保守からBCPまで、成果を上げる先進企業


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端末台数3万台の大規模展開も~システム運用・管理や事業継続計画でも成果

 クライアント仮想化がもたらすメリットは、セキュリティ強化だけではない。システム運用・管理の効率化やBCP(事業継続計画)の強化など、実に幅広い。そのうえ先進ユーザーの取り組みを検証すると、クライアント仮想化は思いのほか即効性が高い技術であることに気がつく。

 【表3-1】は、クライアント仮想化への取り組みを本格化したユーザー企業の一例である。三菱東京UFJ銀行とAIGエジソン生命保険はそれぞれ、 3000台を超える端末を対象に、クライアント仮想化を実施。本誌の調べでは、東京海上日動火災保険はクライアント仮想化を一気に進めるため、毎週 1000台超のペースで端末を調達しているようだ。

【表3-1】クライアント仮想化への取り組みを最近本格化した主なユーザー企業の例

 動き出したのは金融機関だけではない。伊藤忠丸紅鉄鋼は2010年3月、システム運用・管理の効率化を目的にDaaSを導入。国分はBCP(事業継続計画)の一環で、同年2月からクライアント仮想化に取り組んでいる。クライアント仮想化の利点をセキュリティ以外に見出した2社の取り組みを見てみよう。

PC50台分のDaaSを導入しシステム運用環境を改善

 「スペースの効率化でリフレッシュルームができたんですよ」と話すのは、東京・日本橋に本社がある伊藤忠丸紅鉄鋼の渋井明彦IT企画部部長代行である。ガラス張りのリフレッシュルームからは、北東の方角に建設中の東京スカイツリーが良く見え、社員の憩いの場になっている。実は、これもクライアント仮想化で得た成果の1つだ。

 伊藤忠丸紅鉄鋼は2010年3月、丸紅のDaaS「VirtuaTop」を利用して50台分のPCを仮想化した。10台の仮想PCはシステム企画部が使い、30台は基幹系の運用・保守端末として委託先に、残りを同社の物流業務を担う専用PCとして全国8カ所の関係先に、それぞれ提供している。

 これによりまず、従来は基幹系の運用・保守のために常駐していた委託先の担当者がオフサイトでもまったく同じ環境で作業できるようになり、オフィススペースに余裕が生まれた。加えて、Windows 95搭載機が残り故障対応や回線設置負担などに手を焼いていた関係先向けのシステム環境も改善した。

 ただ、DaaSの導入後、複数の企業が利用するサービスならではの難しさにも直面した。「6月に断続的にレスポンスが悪くなった」(IT企画部の木内正文氏)のである。VirtuaTopの利用者数が増え、ストレージに負荷がかかっていたのが原因だった。この点は「仮想化したリソースプールの論理構成を組み直して解決した」(丸紅 ITネットワークビジネス部の山際賢氏)

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関連情報
(記事提供: IT Leaders)
2010/10/12 06:00