サーバー向け最新プロセッサーの“今”を理解する~Part02
最新Xeon/Itaniumの違いを知る


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 性能と省電力のバランスが特徴の量販モデルXeon5600、拡張性と信頼性の高さを指向するXeon7500。これらx86系の延長にあるプロセッサーに対して、ハイエンドのミッションクリティカル用途を指向するItanium 9300。インテルの3種のサーバー向けプロセッサーを一言で表すと、こうなる。各プロセッサーの特徴を、詳細に解説する。

最新Xeon/Itaniumの違いを知る

 インテルは2010年2~3月、サーバー向け新プロセッサー「Xeon5600番台」「Xeon7500番台」「Itanium9300番台」を相次いで発表した(表2-1)。いずれも、1つのプロセッサーに複数のコアを搭載することで性能向上を図るマルチコア製品である。

【表2-1】Xeon5600番台と7500番台、Itanium9300番台のスペック

 3シリーズの違いは何か。どんな用途を想定しているのか。プロセッサーはシステムの心臓部。その性能や機能は当然ながら、サーバーのアーキテクチャ全体に影響するし、ひいては最適なIT投資のタイミングも左右する。そこで以下では、性能や機能の比較を通じて3シリーズの特徴を明らかにしたい。

Xeon5600番台

 5600番台は、5500番台と同じ「Nehalemアーキテクチャ」を継承しつつ、製造プロセス(半導体の配線幅)を45nmから32nmへと微細化したXeonプロセッサーである。プロセス微細化により、単位面積あたりに実装できる回路規模が拡大した。5500番台が1プロセッサーあたり最大4コアを搭載できたのに対して、5600番台は6コアまで搭載できる。加えて、性能向上に寄与する3次キャッシュ容量を、1.5倍となる12MBへと増強した。1次キャッシュ、2次キャッシュの容量に変更はない。

低電圧メモリーを採用 システム全体を省電力化

 性能と電力効率を両立させている点が、5600番台の特徴だ。5500番台の熱設計電力(TDP:Thermal Design Power、設計上想定される最大消費電力)は、38~130ワット。これに対して、5600番台のTDPは40~130ワットである。コア数やキャッシュ容量が増加しているにもかかわらず、消費電力量は従来と変わらない。

 プロセッサーそのものの電力効率向上に加えて、システム全体の消費電力も抑えた。これは、使用可能なメモリーにDDR3Lを追加した効果である。従来からサポートしているDDR3の電源電圧が1.5Vであるのに対して、DDR3Lの電源電圧は1.35Vと低い。DDR3Lの採用は5500番台から実装した省電力機構「インテリジェント・パワー・テクノロジー」と相まって、サーバーを省電力化した。

 5600番台は、インテリジェント・パワー・テクノロジー以外にも多くの機能を5500番台から受け継いでいる。必要に応じて動作周波数を自動で引き上げる「ターボブースト・テクノロジー」や、単一コアで複数の処理を同時実行する「ハイパースレッディング」、プロセッサーとプロセッサー、およびプロセッサーと I/Oコントローラ間の接続機構である「QPI( Quick Path Interconnect)」(表2-2)、仮想化支援機構の「バーチャライゼーション」といった機能である。

【表2-2】インテルは従来のFSBに代え、サーバー向けプロセッサー全シリーズにQPIを実装した

仮想マシンのセキュリティをハードウェアで支援

 5600番台はこのほか、2つのセキュリティ機能を他のサーバー向けプロセッサーに先駆けて採用した。(1)TXT(Trusted eXecution Technology)と、(2)AES-NI(Advanced Encryption Standard New Instruction)である。

 TXTは、その名の通り「Trustedな(信頼できる)」実行環境であることをハードウェアレイヤーで保証する手法だ。BIOSやブートローダをはじめマシン上で動作するソフトが正当なものかどうかを、ハッシュ関数を使って判断するメカニズムを提供する。具体的には、プロセッサーとチップセット、 TPM(Trusted Platform Module)と呼ぶセキュリティチップなどで実現する。

 サーバー向けプロセッサーにTXTを実装したことで、例えば仮想化環境におけるセキュリティを強化できる。一般に仮想マシンはハイパーバイザーの機能で論理的に分離され一定の安全性が確保される。だが、ハイパーバイザーそのものが改ざんされれば、その限りではない。TXTはハイパーバイザーも含め、常に意図したソフトのみ稼働させる環境を構築する(図2-1)。

【図2-1】Xeon5600番台は、「インテルTXT」と呼ぶ機能を実装。ハードウェアで仮想化OSやゲストOSを監視し、不正なソフトウェアの実行を防ぐ

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(記事提供: IT Leaders)
2010/6/15 06:00