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自動運転車の統一的法整備求める Google、Ford、Uberらが新企業連合

 人為ミスによる事故を防ぎ、カーシェアリングを加速するという自動運転車には大きな期待が寄せられている。Google、Ford、Uber、Lyft、Volvoの5社は4月26日、自動運転車の実用化を推進する企業連合を結成した。現状では自動運転車の公道走行はできないため、規制の見直しが必要となる。製品化へ向け拍車をかける業界が、連邦レベルでの法整備を求めて働きかけるロビー団体だ。

「“自動車業界のNokia”になるな」

 Googleなどが立ち上げた企業連合「Self-Driving Coalition for Safer Streets」の目的は、「自動運転車を高速に市場に持ち込むための連邦レベルでのアクションを後押しする」ことという。交通関係の規制は州ごとに分かれるため、全米での統一的な基準が必要になる。

 新連合は、立ち上げにあたって米国道路交通安全局(NHTSA)でトップを務めたDavid Strickland氏を顧問兼広報担当に迎えた。自動運転車を研究段階から知る人物でもある。

 Strickland氏はReutersに対し、「人々は(完全に自律的に走行する)自動車が道路を走るにあたって、何をすべきかの明確なルールが欲しいと思っている」と述べている。これに向け、政治家、規制当局、市民と協業し、自動運転の安全性と社会的メリットを実現していくという。

 Googleの自動運転車の取り組みは2010年にまでさかのぼる。同年、マウンテンビューにある本社からサンタモニカにあるオフィスまで自動運転に成功したことを発表。以降、公道を含めて複数の実験を行ってきた。また、自動車メーカー全体が自動運転車の開発を進めており、FordとVolvoも例外ではない。

 UberとLyftは配車サービスでライバル関係にあるが、目指す先は、同じく自動運転のようだ。Uberは2015年に自動運転車研究センターを開設しているし、Lyftも2016年、自動運転車でGeneral Motorsとの提携を発表している。

 自動運転車を推進する側は、その安全性を強調する。米運輸省(DoT)は2015年の米国内での交通事故死亡者数を3万2674人、けが人は230万人と発表している。自動車の衝突事故件数は610万件に及んだ。自動車事故は15歳~29歳の若者の最大の死亡原因となっており、交通事故の94%が人為ミスによるものだという。自動運転技術が進化すれば、事故を減らし、重度の事故を回避できる可能性も高くなるとみている。

 また新しい技術は投資のチャンスであり、既存企業にとっては後れをとることが死活問題になりうる。Uberの自動運転車市場における動向を3月に報じたFortuneは、ソフトウェアなど技術分野からの新規参入に怯える自動車メーカーの「Nokiaの端末事業のように、一度は大きな収益を上げつつ消えてしまうようなことになりたくない」との声を紹介している。

 Fortuneが引用したExane BNP Paribasのアナリストの推計では、自動運転車市場は2020年に250億ドル規模になるという。

(岡田陽子=Infostand)