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Virtustream買収 ハイブリッドクラウドを目指すEMC

 ストレージ大手のEMCが、クラウド管理サービスのVirtustreamを12億ドルで買収する計画を発表した。同社はハードウェアベンダーからハイブリッドクラウドに軸足を移す計画で、その流れからは今回の買収は評価されている。しかし、同社が主張するフェデレーション(企業連携)モデルには疑問も根強い。

マネージドクラウドサービス

 EMCが12億ドルのキャッシュで取得するVirtustreamは、2009年創業のベンチャー企業だ。SAPなど基幹となる業務アプリケーションデータのクラウドへの移行など、クラウドを利用する企業向けに管理サービスを提供しており、Coca-Cola、Heinz、Kawasaki Motorsなどの企業が顧客として名を連ねる。Virtustreamのクラウド管理プラットフォーム「xStream」は、EMC傘下のVMwareのvSphereと統合されており、ITやクラウドサービス事業はエンタープライズ級のアプリケーションサービスを提供できる。

 買収後、Virtustreamは新設のマネージドクラウドサービス事業として別々に運営され、VirtustreamのCEO、Rodney Rogers氏が同事業のトップとして、EMCのCEO、Joe Tucci氏の直下になる。

 Wall Street Journalなどによると、同社は買収を発表した際、IPOを検討していたがEMCの持つ大規模な営業網や、EMCが“フェデレーション”と呼ぶ傘下企業とのシナジーなどに魅力を感じて、買収提案を受けることにしたと説明した。買収は第3四半期に完了を見込むという。

 Virtustreamの市場の位置付けは悪くない。First Spotによると、Forresterはホステッドプライベートクラウドソリューション分野の上位2社としており、Gartnerでは、クラウドインフラ・アズ・ア・サービスの「マジック・クアドラント」レポートにランクインする数少ない独立系ベンダーだという。

(岡田陽子=Infostand)