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ポストIPO戦略の鍵はクラウド? 中国EC企業Alibaba

 インターネット業界、そして投資家の注目を集めたAlibaba Group(阿里巴巴集団)のIPOは、時価総額約2300億ドルをつける大成功となった。得られた潤沢な資金をどう使うのか、そして評価額でGoogle、Facebookなどと肩を並べるネット大企業となったAlibabaがどんな成長戦略を描いているかが次の焦点となる中、「クラウド」が浮上している。

オンラインストレージ分野に食指動かすAlibaba

 ニューヨーク証券取引所(NYSE)9月19日、上々したAlibabaのIPOは大成功に終わった。公開価格68ドルに対し初値は92.7ドル、終値は38%高の93.89ドルとなった。目標調達額は218億ドルだったが、初日に約250億ドルの調達を達成し、2012年のFacebookのIPOを上回った。Alibabaの評価額は約2300億ドル、GoogleやFacebookなどと並ぶトップクラスのネット企業となる。

 1999年創業のAlibabaは、スタート時のB2BのECのほかに現在、コンシューマー向けECサイト「Taobao」、電子マネーの「Alipay」など複数のブランドを抱える巨大企業だ。

 そのAlibabaがクラウド分野に力を入れている、とWall Street JournalのDigitsがIPO前の8月に報じた。Alibabaは企業向けオンラインストレージサービス「Box」の中国版といえるShanghai Gokuai Technologyへの資本参加について話し合いを進めているという。

 Digitsは、Alibabaが2013年にオンラインストレージのKanboxを買収したこと、当時Alibabaが「AppleのiCloudのようなクラウドストレージサービスの提供を考えている」と述べていたことなどに触れ、「Alibabaがクラウドコンピューティング分野でさらに大きな計画を立てていることを示唆するもの」と述べる。Alibaba自身がIPOにあたって証券取引委員会(SEC)に申請した書類でも、「データとクラウドコンピューティング技術の強化」を事業戦略の主要要素の一つとして挙げている。

(岡田陽子=Infostand)