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データセンター急増で米国の配電網危機 原子力も本格利用へ

「オフ・ザ・グリッド」

 オフ・ザ・グリッドは、電力会社の送電網につながっていない状態、あるいは電力会社に頼らずとも電力を自給自足できる状態を言う。

 クラウドプロバイダーは送電線網に頼らず、データセンターに隣接して電源を確保する方向に動いているという。IDCのクラウド・データセンター担当リサーチ・ディレクターSean Graham氏は「送電線網に接続する際の送電や許認可の遅れの懸念から、データセンター事業者にはオンサイト電源の利用が魅力的になっている」とFinancial Timesに解説している。

 またオフ・ザ・グリッドは、ハイテク企業がこぞって進めているクリーンエネルギーとも相性が良い。太陽光発電や地熱発電など、データセンターに設備を併設することで、管理しやすく、送電ロスを抑えられるシステムになる。

 AWSは2025年までに、Google CloudとMicrosoftは、ともに2030年までに、全電力を100%カーボンフリーで賄う目標を掲げている。AWSが、原発隣接のデータセンターを取得したのも、この流れだ。

 さらに、データセンターの電力利用そのものの効率化を目指す動きもある。

 Alphabetからスピンオフしたインフラ開発企業Sidewalk Infrastructure Partners(SIP)は3月、新ベンチャーVerrusを立ち上げた。データセンターの設計を根本から見直し、従来のワークロードとAIの両方に対応しながら、柔軟で効率的な電力管理を行う、としている。

 Verrusのソフトウェアプラットフォームで、エンタープライズアプリケーションなど24時間稼働するワークロードと、一定の期間しか稼働しないワークロードを分け、柔軟にシフト。余剰分はバッテリーに蓄積して予備電源としても利用する。2026年か2027年に稼働させることを目指している。

 データセンターの模索は続く。