Windows Server 2012研究所
サービスパックではなく、まったく新しいWindows? Windows 8.1を見る 【前編】UI編
(2013/7/25 00:00)
米国で開催された米Microsoftの開発者セミナー、Build 2013の初日にプレビュー版が公開されたWindows 8.1。7月に入り、同社のパートナー向けカンファレンス「World Wide Partner Conference(WPC)」において、8月末にRTM(製造工程向けリリース)を提供することも発表された。このスケジュールでいけば、秋ごろに発売されるPCには、Windows 8.1がバンドルされると思われる。
既存のWindows 8/RTユーザーに対しては、Windows Updateではなく、アプリストアであるWindows Storeからの無償ダウンロード提供になる。スケジュールに関しては明らかにされていないが、9月上旬には提供されるのではないかといわれている。
WPCにおいて、米Microsoft COOのケビン・ターナー氏は、「Windows 8.1はサービスパックではなく、全く新しいWindowsだ」と語った。
Build 2013などのセッションを見てみると、ユーザーインターフェイス(UI)に関しては、Windows 8を引き継ぎ、使いにくい部分を小規模に修正している。
一方、OS内部のAPIに関しては、新しいAPIが5000個近く追加されている。このほか、既存のAPIの修正も数多く行われている。こういうことを考えれば、Windows 8.1はターナー氏が言う通り、Windows 8をベースに大幅な改良が行われているOSといえる。
この連載では2回に分け、Windows 8.1の実像を紹介しよう。今回はまず、UI部分などを中心に紹介する。
ロック画面を大幅に改良
Windows 8.1をインストールして、最初に驚くのが、ロック画面の背景画面がスライドショー化していることだ。ユーザーが撮影した写真などをロック画面のスライドショーとして利用できる。
Windows 8.1では、指定したModernアプリを、ロック画面のバックグラウンドで動かせる。またロック画面で、7つのModernアプリの簡易ステータスと通知を表示できる。例えばSkypeアプリでは、ロック画面に通話の呼び出しが表示され、Windows 8.1にログインしなくてもSkypeで通話することも可能だ。
ただ、バックグラウンドで動作するModernアプリを多く指定すると、その分バッテリの消費が高くなり、動作時間に関係してくる。バックグラウンドでの動作を設定したModernアプリの作り方によっては、急速にバッテリを消費する可能性もある。このあたりは、必要最低限のModernアプリだけを設定しておくべきだろう。
カメラ機能に関しては、特別な設定が用意されている。内蔵カメラのあるタブレットなどでは、ロック画面で下方向にスワイプすると、すぐにカメラを利用することができる。これなら、いちいちログインして、カメラアプリを起動しなくてもいい。
特に、AcerのICONIA W3のような手のひらサイズに収まる8インチタブレットや、年末までにリリースされる7インチタブレットなどで、カメラ機能を利用するのが非常に便利になるだろう。
できれば、スマートフォンのように、シャッターボタン1つで起動するようにしてくれると、さらに便利になっただろうが。
またちょっとしたことだが、タブレットなどで、ログイン時にスクリーンキーボードを表示してパスワードを入力する時に、アルファベットや数字を入力するのが便利になった。
スクリーンキーボードは、簡易表示とフルキー表示がある。フルキー表示では、表示されるキーの段数が増えるため、アルファベットと数字の両方が表示されている。しかしフルキー表示では、画面に表示されるキーの数が増えるため、タブレットなどのタッチ画面で操作するには、キー1つ1つが小さくなり、操作しにくい。
一方、キーが大きく表示される簡易表示にはアルファベットだけが表示され、数字や記号は、キーを押してキーボード表示を切り替える必要があった。このため、パスワードにアルファベットや数字・記号を混在して使っている場合、入力が面倒だった。
そこでWindows 8.1のスクリーンキーボードでは、スマートフォンのように、キー入力にスワイプ機能が取り入れられた。
上段のキーに数字も割り当てられているため、キーにタッチして上方向にスワイプすれば、数字キーの入力も行える。また、キーを一定時間タッチしているとキーを囲むように入力できるアルファベットや数字・記号などが表示される。この時に、左右上下にスワイプすれば、簡単に文字が入力できる。
この機能はWindows 8でも用意されていたが、キーを一定時間タッチしても、左右上下に表示されるキーはほかの言語の文字だった(実際には、ほかの言語パックがインストールされていないと入力できない)。
Windows 8.1では、この機能を拡張して、数字・記号の入力がワンステップで行えるようになったわけだ。