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「ビッグデータ」の認知度は約9割に、活用は流通・運輸・通信などが先行

 IDC Japan株式会社は28日、国内ビッグデータテクノロジー/サービス市場の企業ユーザー動向調査結果を発表した。企業や団体の業務部門におけるビッグデータの認知度は向上し、従業員数2500人以上の「流通」「運輸/運輸サービス」「通信メディア/情報サービス」分野において活用が先行しているという。

 「ビッグデータ」という言葉の認知度は、IT部門では2013年の74.8%から2014年は88.4%に増加。IT部門以外の業務部門や経営層の回答者でも、2013年の33.5%から2014年は56.5%と大きく増加し、IT部門以外の層にも認知が拡大している。

 一方で、「すでにビッグデータを提供/利用している」とする企業は全体の7.2%にとどまっている。提供/利用率は大企業ほど高い傾向にあり、従業員規模が10~99人の企業では2.3%だが、5000人以上の企業では14.3%となる。

 特に活用が先行している企業セグメントとしては、従業員規模2500人以上の民間企業、中でも流通、運輸/運輸サービス、通信メディア/情報サービスの3分野が高い結果となった。

 ビッグデータについて、情報収集を含む何らかの取り組みを行っている企業や団体に対して、今後、ビッグデータテクノロジーを活用する目的を訪ねた質問では、「マーケティング強化」が最も多く、「業務オペレーション改善」「リスク管理」「業績/パフォーマンス評価」が続く。産業分野別では、流通/サービス業や通信メディア/情報サービス業など、先行する分野において「マーケティング強化」を主な目的とする回答が多い。

 取り組みを進める企業が最も期待する業績への効果は、新規事業や既存事業による「売上拡大」とする回答が半数以上を占め、「コスト削減」を上回った。一方で、今後3年間に期待する売上貢献の程度については「最大で10%程度」以下と回答した割合が約85%を占めている。

 IDC Japan ITサービス マーケットアナリストの植村卓弥氏は、「ユーザー企業は、ビッグデータテクノロジーへの投資対効果を注意深く検討している。現在多くのユーザーにおいて進められている、比較的小規模な実証実験/PoC(Proof of Concept)といった取り組みにおいて現実の収益貢献を成功させていくことが、市場拡大に向け重要になる」とコメントしている。

三柳 英樹