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GPSでは不可能な“高精度屋内測位”が東京モーターショーで体感できる

カメラアプリ内で視聴できる説明ページ

 株式会社エムティーアイが開発したスマートフォン向け高精度屋内測位システム「SONICNAUT」が初商用化された。11月22日より開催中の東京モーターショー「スバル」ブースで利用できるカメラアプリに搭載される。

 SONICNAUTは、GPS電波の届かない屋内や地下などでも、スマートフォンに内蔵されたマイクで非可聴域の音波を受信し、誤差およそ30cmの範囲で位置情報が特定できる高精度測位システム。

 スバルブースでは、カメラアプリ「SUBARU TOURS」にSONICNAUTを搭載することで、来場者が各車の前に立つとその車の解説がスマートフォン画面上に現れるといった顧客体験を演出する。今まではコンパニオンの説明を聞いたり、パンフレットの説明を読んだりする必要があったが、SUBARU TOURSを利用すれば、いつでも何回でも目の前の車の説明を見ることが可能という。また、ブース内での現在位置の確認、当日限定で配信されるカメラ用スタンプの入手も可能とのこと。

 エムティーアイは、今回の採用を皮切りに、今後も施設や企業が運営するアプリの開発も含め、顧客サービスや来店促進につながる幅広いO2O(Online to Offline)支援事業を進める考え。

GPSやWiFiでは難しかった高精度屋内測位

 測位として現在主流のGPS測位は誤差も大きく、屋内・地下で利用できないのが弱点だ。屋内・地下でも利用できる方法としてはWiFi測位があるが、こちらも通常数mの誤差が生じるため、階数が混同されやすい吹き抜けのビル内や、狭いスペースに複数のブースが並ぶイベント会場で位置表示させるには不向きだったという。

 これに対してSONICNAUTは、施設内に設置した信号源から非可聴音を流し、スマートフォンの内蔵マイクで受信するという仕組みにより、誤差約30cmの測位を実現した。位置情報を活用したいアプリにSONICNAUTを搭載し、天井や壁にスピーカーを設置するだけで、施設内での階数認識はもちろん、イベント会場のブース位置や店舗内での商品陳列場所といった狭い範囲でも正確な屋内測位が可能となる。

 施設側には非可聴音を発生させる信号源と固定受信機を設置するだけ、ユーザー側も必要なのはスマートフォンのみ、と導入しやすいのも特徴だ。

 複合商業施設などで現在位置を見失ったり、目当ての店舗を探し回ったり――そんな不満が解消される日も近いかもしれない。

川島 弘之