特別企画

パートナーとの豊かなエコシステムで――、ファーウェイが進める法人向け事業

深セン本社で戦略説明会を開催

金融やビッグデータ、映像業界向けソリューションも

 IoT以外の分野も紹介された。銀行向けには、ファーウェイのIAアーキテクチャのミッションクリティカルサーバーKunLunと、Infosysの銀行向けシステムFinacleの組み合わせが広く使われているという。「昔はIBMのメインフレームが使われていたが、それがRISCの中型機になった。それがIAアーキテクチャに移る動きがあり、KunLunが採用されている」とSo氏は語る。さらに、クラウド化にも着手する。

 「IoTが手足ならビッグデータは頭に相当する」として、So氏はビッグデータのソリューションも紹介した。監視カメラのソリューションでは、ファーウェイはハードウェアとVideo Cloudプラットフォームを担当し、カメラの画像から人を検索する技術を開発。すでに警察などに採用されているという。

 また、金融ビッグデータでは例えば「短い時間で深センと上海でカードが使われた」といった詐欺検知のソリューションを開発し、中国で複数の銀行に採用されているとのこと。

 映像業界向けソリューションも紹介され、例として日本のソニーとファーウェイによるIP映像伝送「IP Live」が語られた。TV局で同軸ケーブルのかわりにIPネットワークを使うソリューションで、現地からTV局にIP経由で映像を送ることもできる。Du氏によるとSDNにより75%のケーブルを削減できるという。フランスのTV局のTF1では、ファーウェイのHuawei Media CloudによるVDI環境でのビデオ編集を採用。GPUアクセラレーションを使えるVDI環境により、世界中どこからでもビデオ編集を行えるとした。

 こうした各業種向けのソリューションをふまえ、So氏は「エコシステムを構築する」「顧客のデジタルトランスフォーメーションを助ける」の2つを、ファーウェイのメッセージとしてアピールしている。

銀行向けのミッションクリティカルサーバーKunLunによるソリューション
KunLunによる銀行ソリューションの展示(展示ホールにて)
監視カメラの画像から人を検索するソリューション(展示ホールにて)
金融ビッグデータのソリューション(展示ホールにて)
映像メディア業界向けソリューション
ソニーとファーウェイによるIP映像伝送「IP Live」

「ノアの方舟研究所」の研究成果も製品やサービスに

 ファーウェイのITインフラソリューションについては、Ronald Raffensperger氏(プロダクト・ソリューション グループ データセンター・ソリューション部門 最高技術責任者)が解説した。

 Raffensperger氏はまず、ファーウェイのITの状況を紹介。サーバーのシェアでは世界でトップ3、ストレージのシェアでは中国1位という数字を紹介。さらに、プライベートクラウドで420以上のデータセンターに200万以上の仮想マシンを動かしているという。さらに、ビッグデータで世界に700以上の顧客を持っているとも語った。

 氏はファーウェイが成功した要因として、通信事業者が標準的なハードウェアの組み合わせに向かっていることにより、ファーウェイ製品とサービスの組み合わせが増えていると説明した。また、パートナーや顧客とのジョイントイノベーションもその理由に挙げ、その例としてドバイのスマートシティの実験を紹介した。

 パートナーシップとしては、LinuxやOpenStack、NFVなど、オープンソースへの参加も語られた。既存のプロジェクトへの貢献のほか、OpenSDSなどのようにファーウェイがコーディネートして大手企業が参加しているプロジェクトなどもあるという。

 続いてRaffensperger氏は、クラウドソリューションのFusionCloudを取り上げた。いくつかの物理的なデータセンターにファーウェイ製品に限らずハードウェアを集め、Software Defined StorageやSoftware Defined Networkなどにより、1つの論理的なデータセンターを作るとのこと。

 「実例の1つとして、ファーウェイのEコマースサイトがある。中国ではファーウェイのクラウドを、欧州ではAWSを使い、フロントエンドと管理は統合して扱えるようになっている」(Raffensperger氏)。

 最後にRaffensperger氏は、映像業界でのファーウェイ製品の導入事例として、日本の映像配信サービスのU-NEXTの例と、韓国の放送局のKBSの4K映像システムの例を紹介した。ビデオの配信や編集に耐えるよう、ストレージやネットワークをカスタマイズして提供したという。

 質疑応答では、人工知能研究についての質問も出た。ファーウェイでは通常の*製品開発部門*のほかに、未来の技術を研究する2012ラボがあり、その配下に「ノアの方舟研究所(Noah's Ark Lab)」を設けている。そこで研究された成果の一部は、製品やサービスに生かされているという回答だった。具体的には、ビッグデータ製品FusionInsightや中国のパブリッククラウドに実装されているとのことだった。さらに、FPGAによって機械学習のアクセラレーションも開発していることも語られた。

Ronald Raffensperger氏(プロダクト・ソリューション グループ データセンター・ソリューション部門 最高技術責任者)
ファーウェイのITの状況
ファーウェイのジョイントイノベーション
FusionCloudソリューション
オープンソースプロジェクトへのファーウェイの貢献
日本のU-NEXTの事例
韓国のKBSの事例