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ネットアップ、OpenStackの共有ファイルサービス「Manila」の本番環境対応を発表

 ネットアップ株式会社は27日、同社が創設者となっている共有ファイルサービスのオープンソースプロジェクト「OpenStack Manila」が、企業での本番環境に対応したと発表した。

 Manilaは、ネットアップの技術者が中心となって開発を進めている、共有ファイルサービスを提供するOpenStackのプロジェクト。今回、企業での本番環境に対応したことにより、企業はビジネスクリティカルアプリケーションやコンテンツ管理アプリケーションにも対応可能なクラウドデータセンターを簡単に構築、強化できるようになる。また、Manilaによりデータをクラウド間で自由に移動できるため、顧客はクラウドのマルチテナント環境でストレージやテストなどの用途に共有ファイルサービスを利用できるようになるほか、ビッグデータのような大規模かつ高いパフォーマンスが求められるワークロードでも共有ファイルサービスを利用できるとしている。

 ネットアップでは、アプリケーション開発者が最良のクラウドストレージモデルを利用できるよう、これまでもOpenStackに貢献してきたと説明。今回の発表を通じて、開発者はデータ利用に共有ファイルシステムの柔軟性がもたらすメリットを新たに享受できるようになり、ファイル共有の機能はサービスとして提供されるため、あらゆるクラウド環境で共有ファイルのセルフサービス化とマイグレーションが可能になるとしている。

 Manilaは、OpenStackコミュニティで開発されたオープンかつ標準化されたAPIを活用し、共有/分散ファイルシステムを実現するための自動化された、拡張性の高いオンデマンドなファイルサービスを提供。これまで、クラウドのマルチテナント環境では、共有ボリュームをサービスとしてプロビジョニングできなかったため、共有データのマイグレーションも不可能だったが、Manilaを活用することで、共有ボリュームをクラウド間で自由に移動できるようになる。

 Manilaの機能は、OpenStackの最新リリースであるLibertyから利用可能。その他のクラウド環境でもManilaをモジュールとして利用できる。さらに、ネットアップのオープンソースのストレージコミュニティへの貢献により、Manilaをバックエンドのオプションとしても利用できる。

 ネットアップ独自のストレージOSであるNetApp clustered Data ONTAPは、Manilaで重要な役割を果たしており、データの利用効率、可用性、拡張性の向上など、OpenStackベースのクラウド向けにデータ管理機能を提供する。顧客は、データのライフサイクル全般を通じてマルチテナント環境でのデータのコントロールや保護を実現でき、Manilaにより従来型のワークロードのクラウドへの移行が可能となり、ユーザーは共有ファイルシステムをサービスとして提供するためのアーキテクチャーを高速かつ簡単に構築し、そのメリットを享受できるとしている。

三柳 英樹