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DNPとローレルバンクマシン、IoT技術を利用した現金処理機などの遠隔保守サービスを共同開発

 大日本印刷株式会社(以下、DNP)とローレルバンクマシン株式会社は9日、金融機関で使用される現金処理機などの機器を高度なセキュリティ技術で安全を確保しつつ、IoT技術を利用して遠隔から保守が行えるサービスを共同開発し、提供すると発表した。2016年春にテスト運用を行い、2016年秋に本格サービスの開始を目指す。

 近年、複合機メーカーなどがM2M/IoT技術を活用して、オフィス内のOA機器の状態や利用状況を遠隔で監視し、消耗品の供給や故障時の迅速な対応などを行う「遠隔保守サービス」が増えているが、個人情報や取引情報などの重要情報を取り扱う金融機関では、情報の管理・保全を最優先して、外部ネットワークとの接続を最小限にとどめていることから、社内に設置している機器の遠隔保守サービスは導入されず、故障時の対応などに手間や時間がかかることが課題となっているという。

 こうしたことから、DNPでは、クレジットカードやキャッシュカードなどの高セキュリティICカードの開発で培ったノウハウを活用し、安心・安全なIoTサービスのプラットフォームを構築。セキュリティに優れた遠隔保守の実現を支援する。このプラットフォームでは、ICカードに使われるセキュアチップを用いて、機器間で送受信するデータの改ざん・盗聴を防止するほか、機器から収集した情報を一元管理するクラウドや通信機器などをワンストップで提供する。

 DNPとローレルバンクマシンでは、DNPのIoTプラットフォームを利用するとともに、ローレルバンクマシンの機器に、セキュアチップを搭載したモジュールを実装し、安心・安全に遠隔保守を行うサービスを共同で提供する。

 ローレルバンクマシンの現金処理機などの状態や利用状況をリアルタイムで把握することで、保守サービスの品質向上を実現するとともに、機器の最適な運用方法などを提案し、機器の作業性の向上や、金融機関の業務効率化を図る。

 現金処理機などの機器に搭載する無線通信モジュールおよびゲートウェイ端末にセキュアチップを実装することで、送受信するデータの改ざんや盗聴を防止。各機器が発信するデータは、ゲートウェイ端末を経由して高いセキュリティを備えたクラウドへ送信される。

 ローレルバンクマシンでは、クラウドに集約された機器の稼働状況のデータを閲覧し、保守サービスに活用する。機器の状態・利用状況をリアルタイムで把握することで、金融機関からの問い合わせに対して最適な保守サービスの提供が可能になると説明。また、各拠点で個々に行っている機器の設定の一元化や、機器稼働情報の収集・分析を行うことで、金融機関に合った最適な運用の提案が可能になるとしている。

 今後、DNPとローレルバンクマシンは、2018年度までに2000店舗での本サービスの導入を目指す。また、DNPは、このビジネスモデルを他の業界にも水平展開し、製造機器やOA機器などのベンダーと同様のサービスを共同開発し、2020年度に年間30億円の売上を目指す。

三柳 英樹