ニュース

生涯学習の朝日カルチャーセンターが「Azure」採用、講座オススメ機能を2カ月で実装

 生涯学習センターの朝日カルチャーセンターが22日、日本マイクロソフト株式会社の機械学習機能を活用し、講座のレコメンデーションを開始した。

 日本の生涯学習市場は、戦後の高度成長期以降、急速に拡大するも、個人の趣味嗜好が多様化した近年ではニーズにマッチした講座の提供が難しくなったことなどから、縮小傾向にあるという。1974年から教養・語学・趣味・実益・健康などにかかわる多様な講座を提供している朝日カルチャーセンターでは、全国13教室で展開している講座情報を発信するWebサイトのリニューアルに際し、ユーザーが自身の趣味嗜好にあった講座を簡単かつ迅速に見つけられる環境をめざし、新たなITシステムを検討した。

 結果、国内にデータセンターがあること、国内での災害復旧対応が可能なことを評価し、マイクロソフトを選定。クラウドサービス「Microsoft Azure」とその機械学習機能「Azure Machine Learning(ML)」を採用した。

 新たなWebサイトでは、機械学習によってユーザーの趣味・嗜好と講座がマッチングされ、最適な講座がオススメされる。Webサイトにおいて受講者やログインしていない匿名ユーザーの行動履歴(講座閲覧履歴)を、Azure上に構築されたサイトコアのWebコンテンツ管理システム(CMS)「Sitecore Experience Platform」を活用したシステムに収集・蓄積。Azure MLで分析し、最適な講座情報を発見するとともに、Webサイトに受講者に最適な講座情報が自動的に表示されるようにした。

システムイメージ図

 特筆点は以下の2点。

 まず、Web訪問者の全行動履歴の行動特性分析で、より高度なレコメンドを実現したこと。次にクラウドサービスを活用することで、システムの計画から実装までを約2週間で実現したこと。

 従来の機械学習を利用したシステムでは、機械学習アプリをサーバーにインストールし、大量のデータとその分析結果をシステム間で通信する必要があったため、システムに容易に組み込めるものではなく、データ量によっては分析用ハードウェアを調達する必要もあったという。こうした障壁があったため、一部の企業での利用にとどまっていたという。

 今回のシステムでは、Web CMSをAzure上に構築したことで、これら設計・調達にかかるコストを抑えたのに加えて、Azure MLに用意された容易な開発環境を利用することで、約2週間という早さを実現し、コストも他社のSaaS型レコメンデーションエンジンの1/10で運用しているとのこと。

 朝日カルチャーセンターでは、今回のレコメンデーション機能の提供により、Webサイト訪問者の滞在期間と講座情報の閲覧数をそれぞれ30%増加させ、既存会員一人あたりの受講講座数と新規受講者数を、今後1年間でそれぞれ10%増加させたい考え。マイクロソフトは、今回のような低コスト・短納期の機械学習機能を今後も普及促進するとしている。

レコメンデーションの画面イメージ

川島 弘之