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IPA、3541件のプロジェクトを整理・分析した「ソフトウェア開発データ白書」

信頼性要求が高いほど開発生産性は下がる

ソフトウェア開発データ白書2014-2015

 独立行政法人情報処理推進機構 技術本部ソフトウェア高信頼化センター(IPA/SEC)は8日、幅広い業種・業務における多数のソフトウェア開発プロジェクトデータを整理・分析した「ソフトウェア開発データ白書2014-2015」を発売した。A4変形版・451ページで3241円(税別)。

 IPA/SECでは、ソフトウェア開発における定量手金プロジェクト管理の普及促進を目的に、開発プロセスの標準化や見える化手法、定量的品質管理手法などの調査・検討を行っている。この活動の一環として、「ソフトウェア開発データ白書」をこれまで8回にわたって発行してきた。

 今回の最新版では、新たに452件を追加した総計3541件におよぶソフトウェア開発プロジェクトデータを整理。プロジェクトの規模・工数・工期などの相関を示す一定の分析を行い、統計データとして収録した。加えて「発注者側におけるソフトウェアの信頼性要求レベルや発注者側のプロジェクト体制が、ソフトウェア開発における信頼性や生産性にどのような影響を与えるか」という新たな視点を盛り込んだのが特長となる。

 新たな洞察としては、例えば「発注者側(顧客)の信頼性要求レベルが高いほど、ソフトウェアの信頼性は高くなるが、同時に受注者側(開発現場)の生産性は下がる傾向にある」ことが明らかに。また、プロジェクト体制が「ソフトウェアの品質保証に関する専門部署・専門スタッフを設置していること」「ソフトウェアのテスト体制として要員数やスキルが十分であること」「定量的な出荷基準が設けられたプロジェクトであること」の各条件を満たす場合、「それぞれにおけるソフトウェアの信頼性は高くなる傾向にある」ことも分かった。

 IPA/SECでは、「本書は多種多様な業種・工程・言語の利用者に対応するために、プロジェクトの規模・工数・工期・信頼性・生産性などの相互関係を業種別・工程別・言語別に分析している。そのため、開発現場の遷移や開発期間の長短といったソフトウェア開発の傾向を把握する際の基礎データとして使えるほか、ソフトウェア開発における受発注車間の合意形成や開発評価など、定量データの実践的な活用も可能にしている」とし、本書をはじめとした各種書籍・ツールの提供を通じて、ソフトウェア開発における定量的プロジェクト管理の普及促進を図るとしている。

川島 弘之