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日立、M2M活用の故障予兆診断サービス、独自分析技術で「高精度」

 株式会社日立製作所(以下、日立)は、機器の状態を遠隔診断し、故障につながる変化や予兆を早期に検出する「Global e-Service on TWX-21/故障予兆診断サービス(以下、故障予兆診断サービス)」を開発。グローバル市場で機器の製造・販売・保守を行う企業向けに10月10日から販売する。

 故障予兆診断サービスは、独自の分析技術を用いた故障予兆診断システムをクラウドサービスとして提供するもの。日立のビッグデータ利活用の専門家が導入を支援し、機器ごとに最適化した高精度な故障予兆診断を実現する。機器の稼働率向上と保守費用の低減が期待できるという。

利用イメージ

 M2M技術を活用し、機器に取り付けたセンサーから収集したデータ(センサーデータ)を基に遠隔で機器の状態を監視し、故障による想定外の停止を回避する。こうした仕組みでは現状、機器の制御データに対してしきい値を設定し、技術者の経験・ノウハウをもとに保守作業の要否を判断するケースが多く、適切なしきい値の設定が困難なのが課題。これに対して「機器ごとに最適化した高精度な故障予兆診断」を実現するのが特長という。

 その中核を担うのが、日立独自の分析技術「ベクトル量子化クラスタリング(VQC:Vector Quantization Clustering)」または「局所部分空間法(LSC:Local Sub-space Classifier)」に基づく診断アルゴリズム。機械学習技術を応用し、機器の正常な状態のセンサーデータを学習、機器ごとに事前に作成した診断モデルに基づき、そのデータとの差異を異常度として出力して故障の予兆かどうかを診断する。機器の特性や設置場所の違いによる使用状況の差異も踏まえた診断が可能で、より高精度で故障の予兆が行えるという。

 診断モデルについては、日立のビッグデータ利活用の専門家「データ・アナリティクス・マイスター」が実際の各機器のセンサーデータを用いて、2つの診断アルゴリズムの適用性評価をはじめ、診断方法の具体的な検討、性能評価などを行いながら作成する。

 運用開始後、機器のセンサーデータや故障予兆診断の結果はWebブラウザ上で確認でき、機器別センサーデータの推移、機器別・日別の異常有無のサマリー情報、診断アルゴリズムで算出した異常度のグラフ表示など、さまざまな側面から機器の状態を見える化する。

 さらにSaaS型機器ライフサイクル支援サービス「Global e-Service on TWX-21」の機械管理台帳やサービス情報管理機能などと連携させ、予防保守計画の策定も効率化する。

 価格は月額180万円(税別)から。2015年3月より提供を開始する。売上目標は2018年度までで累計50億円。

川島 弘之